太陽光発電の保険を徹底比較。投資収益を守る賢い選び方を知ろう

投稿日:2025年10月21日 | 最終更新日:2025年10月21日

お知らせ

太陽光発電設備への投資を検討している方、または発電所オーナーにとって、適切な保険選びは投資効果を左右する重要な要素です。近年の保険料値上げと災害増加の中で、どのような保険が必要で、どう比較すべきかを詳しく解説します。

太陽光発電の保険料は値上げ傾向にあり

保険料値上げの現実

太陽光発電設備の保険料は、近年急激な値上げが続いています。この背景には様々な原因があり、北関東であれば盗難による被害の増加、九州であれば気候変動による災害の激甚化があります。もちろん複合的にそれらが絡んでくる場合もあるのですが、このような原因から、保険会社の支払い保険金が急増していることが主な要因となっています。

画像引用元:株式会社エネテクインシュランスサービス

火災保険については、50kW発電所の場合、年間保険料が約2倍に跳ね上がっており、従来の年8万円から16万円へと大幅な負担増となっています。さらに深刻なのが休業損害補償で、こちらは約6倍もの値上げとなり、年2万円だった保険料が12万円まで上昇しています。

※参照:2024年10月に太陽光発電の保険が値上げ?!背景や未加入のリスクを解説 – 太陽光買取センター

この値上げの背景となっているのは、台風や豪雨などの自然災害の頻発と激甚化です。保険会社の保険金支払いが急増した結果、リスクに見合った保険料設定が必要となり、太陽光発電事業者にとって大きな負担となっています。投資計画を立てる際には、この保険料上昇を織り込んだ収支計算が不可欠となっています。

太陽光投資で保険が必要な理由

保険が必要な理由と実際の損失事例

太陽光発電投資において保険が重要な理由は、実際に発生している深刻な損失リスクを見れば明らかです。2015年8月の台風15号では、九州で太陽光発電設備に甚大な被害が発生しました。全損事故となれば投資額の大部分を失うリスクがあります。

※参照:太陽電池発電設備の安全確保のための取組強化について – 経済産業省

さらに恐ろしいのが第三者への賠償リスクです。強風でパネルが飛散し、近隣家屋や車両に損害を与えた場合、所有者の責任が問われ、修理費等の賠償金の支払いが発生する可能性が高いとされています。個人投資家にとって、このような賠償リスクは事業に深刻な影響を与えます。

※参照:太陽光発電が台風で剥がれた事例 実は使える保険や補償、パネル廃棄など対処法もご紹介 – ソーラーパートナーズ

重要なのは、メーカー保証では自然災害による損害、第三者への賠償、発電停止による収入損失は一切カバーされないという点です。メーカー保証は製品不良による故障のみが対象であり、投資リスクを総合的にカバーするためには、別途保険への加入が必須となります。

投資収益への影響

保険料値上げが投資収益に与える影響は軽視できません。50kW発電所の場合、2025年の値上げ後には年間保険料の合計が25万円に達します。内訳は火災保険、賠償責任保険、休業損害補償が含まれ、20年間の保険料総額は500万円にも上ります。

この保険料負担により、ROI(投資利益率)は8.5%から7.2%へと1.3%も低下することになります。しかし、この数値を見て保険に加入しないことは危険です。保険料は投資を守るための必要経費であり、万が一の際の損失を考えれば、適切な保険加入は投資で成功するための必須条件といえるでしょう。

太陽光保険4種類と選択する際のポイント

火災保険

火災保険は太陽光発電設備の基本的な保険として位置づけられ、設備の物理的損害を幅広くカバーします。補償対象には火災、落雷、風災、水災、盗難が含まれ、近年多発している異常気象による損害にも対応できます。

施設所有管理者賠償責任保険

施設所有者賠償責任保険は、太陽光発電設備が原因で第三者に損害を与えた場合の賠償責任をカバーする保険です。パネルの落下や飛散による人身事故、隣接建物への物的損害などが補償対象となります。

万が一の際の賠償額は数千万円から億単位に達する可能性もあります。そのため、個人投資家にとって、この保険は事業継続の生命線となる重要な補償です。

休業損害補償

休業損害補償は、設備の故障や災害により発電が停止した際の売電収入の減少を補償する保険です。太陽光発電事業では、発電停止期間中も設備ローンの返済や各種費用の支払いは続くため、売電収入の確保は事業の根幹を支える重要な要素となります。

長期間の発電停止による収入損失を考えると、必要不可欠な保険といえます。特に大規模災害で復旧に数か月を要する場合、この保険の有無が事業継続を左右することになります。

地震保険

地震保険は、地震、津波、噴火による設備損害を補償する保険です。日本は地震大国であり、太陽光発電設備も地震による損害リスクを常に抱えています。特に津波の影響を受けやすい沿岸部の設備では、この保険の重要性が高くなります。

地域の地震リスクや設備の構造によって保険料が決定されます。東海地震や南海トラフ地震などの大規模地震リスクが指摘される地域では、加入しておきたい保険のひとつとして位置づけられます。

複数の保険会社から見積もりを取得すべき理由

各保険会社の保険商品に固有の特徴があるため、複数社からの見積もり取得が重要です。単純に保険料の安さだけで選ぶのではなく、補償内容の充実度、事故対応の満足度なども含めて総合的に判断する必要があります。特に災害リスクの高い地域では、保険会社の災害対応実績も重要な選択基準となります。

保険選択の判断基準と注意点

適した保険を選ぶ3つの判断基準

保険選択で最も重要なのは、投資地域のリスクレベルを正しく把握することです。台風や豪雨の発生頻度が高い地域では、風災・水災保険の重要度が格段に高くなります。地震や津波のリスク度についても、地域の地震予測データと照らし合わせて慎重に判断する必要があります。また、人里離れた場所では盗難やいたずら被害の発生状況も考慮しなければなりません。

また、投資家のリスク許容度も保険選択に大きく影響します。万一の損失に対する資金的余裕がある場合は、免責金額を高く設定することで保険料を抑えることも可能です。保守的な投資スタンスの方は手厚い補償を、積極的な投資家は必要最小限の補償を選択する傾向があります。保険料負担に対する考え方も、総合的な投資戦略の一部として位置づける必要があります。

発電所の特性による違いも重要な判断基準です。低圧と高圧では設備規模や管理体制が異なり、それに応じて保険ニーズも変わります。平地、山間部、沿岸部といった設置環境の違いは災害リスクに直結し、アクセス性の良し悪しは点検や修理の容易さに関わってきます。

契約前の必須チェック項目

保険契約前にはおおよそ3社以上から見積もりを取得し、保険料と補償内容を詳細に比較検討することが重要だと我々は考えます。単純な価格比較だけでなく、サービス内容や対応力も含めて総合的に判断しましょう。

補償範囲と免責条件については、約款まで含めて詳細に確認する必要があります。どのような場合に保険金が支払われ、どのような場合に支払われないのかを明確に理解しておくことで、万が一の際のトラブルを避けることができます。

メーカー保証との重複や補完関係についても整理しておきましょう。重複する部分では無駄な保険料を支払うことになり、補完が不十分な部分では思わぬリスクが残ることになります。保険料を含めた投資採算性の再確認も忘れずに行い、更新時の条件変更リスクについても事前に確認しておくことが大切です。

まとめ

太陽光発電投資において、適切な保険選択は投資成功の重要な要素です。近年の保険料値上げは確かに投資収益に影響を与えますが、メーカー保証だけでは不十分なリスクに対して、適切な保険の組み合わせを選択することで、長期的な投資の安定性を確保できます。

火災保険、施設所有者賠償責任保険、休業損害補償、地震保険のつの基本保険から、投資地域のリスクレベル、個人のリスク許容度、発電所の特性に応じて最適な組み合わせを選択することが成功の鍵となります。複数の保険会社を比較検討し、保険料の負担を適正レベルに抑えながら、必要十分な補償を確保するバランス感覚が、太陽光発電投資の成功につながるでしょう。

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