太陽光発電にメンテナンスが必要な理由とは?費用相場・業者選定のポイントについて解説

投稿日:2025年12月24日 | 最終更新日:2025年12月24日

保守・メンテナンス

太陽光発電は、定期的なメンテナンスが必要であり、導入後も継続的な費用が発生する点には注意が必要です。太陽光発電を設置する際には、長期的な維持費用を事前に把握した上で、導入を検討することが大切です。

本記事では、太陽光発電にメンテナンスが必要とされる理由を紹介するとともに、費用の相場や具体的な対策について詳しく紹介します。

太陽光発電にメンテナンスが必要な理由

太陽光発電は、定期的なメンテナンスを行うことで、長期にわたり安定した発電量を維持できます。逆にメンテナンスを怠ると、設備故障への早期対応が難しくなるだけでなく、改善命令や認定の取り消しといった処分を受ける可能性も……。

こうしたトラブルを防ぐためには、点検・メンテナンスを含む適切な維持管理が欠かせません。まずは、太陽光発電にメンテナンスが必要とされる理由について、詳しく解説します。

改正FIT法で定められているため

FIT法とは、固定価格買取制度のことです。この制度は、太陽光発電のような再生可能エネルギーによって発電した電気を、国が決めた価格で買い取るよう、電力会社に義務づけた制度を指します。FIT法は、2012年7月に「再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(平成23年法律第108号)に基づき創設されました。

当初は、「50kW以上の産業用太陽光発電」が定期点検・維持管理の対象でしたが、2017年の改正FIT法により「50kW未満の住宅用設備」にも義務が拡大されました。事業用として導入される太陽光発電は、一般的に「50kW以上の規模」のものが多いです。この場合、たとえFIT制度を利用していなくても「電気事業法」に基づき保守点検の義務が発生します。

そのような理由から、事業として太陽光発電を設置している場合には、定期的な保守点検の実施が不可欠です。

参考:改正FIT法による制度改正について(資源エネルギー庁)
参考:太陽光発電に点検義務はある?改正FIT法による義務内容や点検の注意点を紹介(関西電力)

外的要因の影響を受けやすいため

太陽光発電設備は屋外に設置されるため、雨風や砂埃、黄砂、落ち葉などがパネル表面に付着し、汚れが生じやすくなります。汚れが蓄積すると太陽光の吸収が妨げられ、発電効率の低下を招きます。安定した発電量を維持するには、パネル表面の汚れを定期的に取り除く必要があります。

さらに、太陽光発電のパネル部分は光を電気に変換する「半導体」で構成されていることから、高温になると電気抵抗が増し、発電効率が低下するという特性があります。

太陽光発電パネルで使用されることの多い「結晶シリコン系のパネル」の場合、表面温度が1℃上昇するごとに発電出力が約0.45%低下するとされています。このような背景から、夏場の高温時には発電量が減少するケースも少なくないようです。

火災・感電などのトラブルを防ぐため

太陽光パネルや、パワーコンディショナー(パワコン)などの「太陽光発電システム」には、寿命が存在します。パワーコンディショナーとは、太陽光パネルで発電された「直流電力(DC)」を、家庭やオフィスで使える「交流電力(AC)」に変換する装置のことです。

太陽光パネルの寿命は一般的に20〜30年とされ、25年の出力保証期間内では初期性能の80〜90%を維持することが可能です。

一方、パワーコンディショナーは10〜15年で寿命を迎えるため、定期的な点検・メンテナンスが欠かせません。

太陽光パネルやパワーコンディショナーは、メンテナンスを怠ると経年劣化やシステム不全などの影響で、次のようなトラブルが生じることがあります。

  •  パワーコンディショナーの経年劣化による出火
  • 配線の破損による漏電
  • 漏電によるスパークが、堆積した落ち葉に引火

その他にも、太陽光パネルには配線が組み込まれており、破損すると漏電の恐れがあります。

安全性を維持するには、定期的な点検・清掃と、必要に応じた専門業者による適切な対処が不可欠です。

保守点検で早期に性能の低下を発見することで、必要に応じて修理を行うことが可能となり、長く安定した発電量を維持できます。

産業用太陽光発電における、メンテナンス費用の相場

産業用太陽光発電のメンテナンス費用については、経済産業省の資料の中で、以下のように示されています。

  • 地上設置の場合……平均値5,200円/kW/年(中央値4,100円/kW/年)
  • 屋根設置の場合……平均値5,200円/kW/年(中央値3,700円/kW/年)

メンテナンス費用は、人件費や燃料費の変動によって増える可能性があります。安心して費用を管理するためにも、今後はこうした動向をチェックしておくとよいでしょう。

参考:令和6年度以降の調達価格等に関する意見(経済産業省)

太陽光発電の主なメンテナンス

太陽光発電設備の性能を最大限に発揮し、長期にわたって安定稼働させるためには、定期的なメンテナンスを実施することが大切です。ここでは、太陽光発電における代表的なメンテナンス方法をご紹介します。

パネル表面の清掃

太陽光発電設備は屋根や地上に設置されるため、パネル表面には鳥の糞や落ち葉、黄砂などの汚れが付着しやすい環境にあります。

これらの汚れを放置すると、太陽光の吸収が妨げられ、発電効率の低下を招きます。

発電効率を安定させるためには、パネル表面の汚れを早期に発見できるよう、定期的な点検・清掃が不可欠です。

点検を通じて汚れに気づき、適切に清掃することで、安定した発電量を維持することが可能です。

目視点検

目視点検とは、太陽光発電システムの外観や周辺環境に異常がないかを、直接目で確認する作業のことです。主なチェック項目は、以下の通りです。

  • パネルの割れ・汚れ・焦げの有無
  • コーティングの劣化状況
  • 架台やボルトのサビ・緩み・傾き
  • ケーブルの断線・たるみ・損傷
  • フェンスや周辺設備の破損

こうした目視点検を定期的に実施することで、パネルや架台、配線の破損や汚れ、緩みなどを早期に発見できるようになり、発電効率や安全性に影響する問題を未然に防ぐことが可能です。

除草

除草とは、雑草を取り除く作業のことです。

太陽光発電システムの周辺に雑草が繁茂すると、影の影響を受けて太陽光の取り込みが妨げられ、発電量の低下につながります。除草は自分で行うことも可能ですが、高所や広範囲での作業は怪我などのリスクを伴うため、専門業者に依頼する方が安心です。

定期的に除草を実施することで、影の影響を受けにくくなり、発電効率の低下を防ぎます。

メンテナンスにおける課題を解決する方法

点検やメンテナンスは、自分で対応できる範囲であればセルフチェックも有効です。しかし、屋根の上など高所での作業には危険が伴うため、点検業務の際には十分な注意が必要です。本項目では、太陽光発電のメンテナンス業務における危険性・課題を解決する方法について、具体的に紹介します。

遠隔監視システムを導入する

遠隔監視システムとは、インターネットやIoT技術を活用し、離れた場所にある設備・環境の映像やデータをリアルタイムで監視・把握できる仕組みのことです。

太陽光発電においては、次のような情報の収集に役立ちます。

  • 発電量の自動記録、グラフ表示
  • 異常値や発電量低下時のアラート通知
  • 遠隔地からのシステム状態確認

遠隔監視システムを導入することで、日々の発電状況や異常の兆候をリアルタイムで把握できるようになり、トラブルの早期対応や発電ロスの最小化に繋げることが可能です。

信頼できる業者を選ぶ

太陽光発電の点検業者は数多く存在し、実績や評判もさまざまです。費用だけを重視して安価な業者を選ぶと、点検項目が不十分、または対応が遅れるといったリスクに遭遇する恐れがあるので注意しましょう。

業者を選定する際には、価格だけでなく実績・体制・報告書の内容などを踏まえた上で、総合的に判断することが大切です。その他にも、業務を安心して任せられるよう、経験豊富で評価の高い業者を選ぶことも重要と言えるでしょう。

信頼できる業者を選ぶポイント

安心して任せられる業者を選ぶ際には、いくつかのチェックポイントがあります。本項目では、点検業者を選ぶ際に確認しておきたいポイントを具体的に紹介します。「安心できる業者選びが難しい」という方は、ぜひ参考にしてください。

メンテナンス実績が豊富な業者を選ぶ

太陽光発電設備の点検を依頼する際には、メンテナンス実績が豊富な業者を選ぶことが大切です。経験豊富な業者は、数多くの点検・メンテナンス事例から得たノウハウを活かし、的確な診断・対応を行うことができます。

点検・メンテナンスは設備の規模によって注意点や内容が異なるため、依頼時には同規模・同種の設備での点検経験があるかどうかも確認しておくと安心です。

運用や保守管理のみを依頼する場合であれば、これらを専門とするO&M業者に任せる方法がおすすめです。O&Mとは「オペレーション(運用)&メンテナンス(保守管理)」の頭文字をとった言葉で、運用や保守管理に関する専門的な知識とノウハウを備えています。そのため、的確な点検やメンテナンスを受けることが可能です。

専門的な資格を持っている

太陽光パネルの点検業務は、太陽光発電協会から認定を受けているかどうか、または専門的な資格を保有している人が在籍しているかどうかもチェックしておくと安心です。チェックしておきたい事項は、主に以下のとおりです。

  • PV施工技術者……JPEA(太陽光発電協会)認定のカリキュラムに基づく研修を受けた技術者のこと。
  • 電気工事士……住宅、工場、ビルなどの電気設備の工事、管理を行うための国家資格。

PV施工技術者は国家資格ではありませんが、研修を修了すると認定書の発行を受けることができます。この認定書を掲示することで、施工に関する基礎知識や一定の技術レベルを備えた施工者であることを示すことが可能です。

資格や認定を取得した技術者は、電気工作物の工事・維持・運用に関して高度な知識を習得しています。専門的な知識を持つ技術者に点検業務を依頼することで、正確かつ信頼性の高い点検を実施することが可能です。

参考:持続可能な社会の実現に向けた行動指針 (一般社団法人 太陽光発電協会)
参考:PVマスター技術者制度(jcot)
参考:電気主任技術者って知ってる?(一般財団法人 電気技術者試験センター)

アフターサポートが充実している

太陽光発電の点検は、一度きりで終わるものではなく、継続的に実施することが大切です。長く安定した運用を続けるためにも、点検を依頼する際には、アフターサポートが充実しているかどうかも確認しておくと安心です。とくに注目したいポイントは、主に以下の通りです。

  • 定期的な報告書の提出
  • 疑問点への丁寧な回答

報告書を継続的に提出してくれる業者や、誠実に対応してくれる業者は、顧客に寄り添ったサービスを心掛けている可能性が高いです。

太陽光発電は、自然災害や外的要因の影響で、トラブルが突発的に発生する恐れがあるため、いざという時に迅速な対応ができる業者を選ぶことも大切な要素のひとつ。

緊急時の連絡先や、メンテナンス対応時間について事前に確認しておくことで、万一の際にも安心して点検業務を任せることが可能です。

まとめ

太陽光発電で安定した発電量を維持するためには、点検・メンテナンスを適切に行い、損失を最小限に抑えることが重要です。点検やメンテナンスをO&M事業へ依頼する際には、太陽光発電に特化した業者を選ぶことをおすすめします。

O&Mの利用料は、業者によって異なります。月額料金が安くても、緊急時の駆けつけに別途コストがかかったり、必要なサービスが十分に含まれていなかったりすることも少なくありません。こうしたリスクを避けるためには、月額固定費用・従量課金・追加作業費用など、料金体系が分かりやすい業者を選ぶことが大切です。

弊社のO&Mサービス「om’s club(オムズクラブ)」は、月額10,780円(税込)でモニタリング・付帯保険・駆けつけ・定期点検・発電診断の6つのサービスが含まれています。

他社では「年1回まで無料、2回目以降は70,000円」といった制限が一般的ですが、om’s clubは駆けつけ対応が回数無制限で無料(※一次対応)なため、トラブルが多い時期でも追加費用を気にせず、安心してご利用いただけます。

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