太陽光発電所に設置するフェンスを選ぶ5つのポイント
投稿日:2019年5月20日 | 最終更新日:2024年4月8日
│災害対策│
フェンスの設置って必要なの?
今回の記事では、太陽光発電所にフェンスを設置する場合にどういったポイントで選ぶべきなのかご紹介します。
なぜフェンスを設置しなければならないのか
フェンスを設置することでどんなメリットがあるのか
フェンスの設置基準にはどんなものがあるのか
フェンスを選ぶポイント
上のような悩みを解消するための記事となっております。
特に、低圧の野立て太陽光発電所をお持ち(設置予定)の方に見ていただきたい内容です。
改正FIT法でフェンスの設置が必須に!
2017年4月1日に改正FIT法(固定価格買取制度)がスタート。
太陽光発電所の運用管理と保守点検(O&M)が必須となったことで、太陽光発電所のメンテナンスについて対策をする必要がでてきました。
フェンスの設置については、経済産業省の「事業計画策定ガイドライン」と「電気設備の技術基準の解釈の説明38条」で規定されています。
規定内容を簡単にまとめますと、
「人が立ち入る可能性がある場所では、構内への立ち入り防止のため、柵や塀を設けること」
以前は50kW未満の場合、フェンス設置は義務ではありませんでした。
しかし、改正FIT法の施行によって低圧の野立て太陽光発電所(20kW以上50kW未満)でもフェンスの設置が義務付けられました。
フェンス設置を省略できる例外
「事業計画策定ガイドライン」には2つの除外規定も記されています。
【除外事例1】フェンスが無くても第三者が近づけない場合
フェンスを設置しなくても、人が入っていけないような状況であれば除外規定に当てはまる場合があります。
引用「柵塀等の設置が困難な場合(屋根置きや屋上置き等)や第三者が発電設備に近づくことが容易でない場合(塀つきの庭に設置する場合、私有地の中に発電設備が設置され、その設置場所が公道から相当程度離れた距離にある場合等)には、柵塀等の設置を省略することができることとする。」
「容易でない」「相当程度離れた距離」というような抽象的な表現となっています。
【除外事例2】営農型太陽光発電で、フェンスが邪魔になる場合
営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)は、農業の土地を利用して太陽光パネルを設置するというものです。
フェンスがあることでトラクターなどが出入りできなくなるといった「農作業に支障がでる」場合には除外されます。
フェンスを設置することで得られるメリットは?
フェンスを設置するには当然、費用がかかってしまいます。義務とはいえ出来れば設置したくないと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、フェンスを設置することで今から紹介するようなメリットがあります。
自分の発電所を守るためにも、フェンスの設置の重要性は知っておきましょう。
子どもの侵入を防止
空地にある野立て太陽光発電所は、子どもにとって魅力のある遊び場になる可能性があります。もしも、フェンスが無かったら簡単に侵入ができてしまいます。
いたずら防止にもなりますし、万が一、子どもが電気的な機器に触れた場合に感電するという事故を未然に防ぐことができます。
防犯対策
野立ての太陽光発電所だと、近隣に何もない場合が多く「ケーブル盗難」の被害に合う可能性があります。
フェンスがあるだけで盗難リスクが減少します。
実際にケーブル盗難にあった現場の写真
太陽光発電所で一番盗難被害にあっているのがケーブルです。太陽光パネルに比べて、運びやすいことや、シリアル番号がない(盗難と特定できない)ことが理由となっています。
獣害防止
野立て太陽光は、人里から離れた場所に作られる場合も多いです。
イノシシやシカなどが発電所に侵入して、パネルにぶつかり破損させてしまうというリスクを減らすことができます。
防犯対策と同時に、動物の侵入も防ぐことができることがメリットです。
気になるフェンスの設置基準は?
設置するフェンスにも一定の基準があります。
どういった基準があるのか、5つのポイントから解説します。
基準①「柵は立ち入れないような高さにすること」
フェンスは、第三者が簡単に侵入できないような高さに設定しましょう。
何cm以上という具体的な基準は設けられていませんが、特に子供が侵入できないような高さに合わせるのであれば「120cm以上」が理想です。
太陽光発電設備の中では「ケーブル」の盗難が一番多いです。
簡単に侵入できないような工夫が必要です。
基準②「太陽光発電設備は外部から触れられない距離に設置」
フェンスと太陽光発電設備との距離は、ある程度離しておく必要があります。
こちらも具体的に何m離せば良いという設置基準は決まっていませんが、1mは離すことが理想です。
太陽光発電設備は漏電の恐れもあるので、第三者の感電のリスクを抑える必要があるためです。
基準③「簡単に取り除くことができないフェンスにすること」
フェンスの素材や設置方法は「簡単に取り除かれるようなもの」はNGです。
例えば、ロープで囲っているような発電所の場合は第三者に簡単に侵入されてしまい、意味がありません。
金属製で、ある程度の強度が求められます。
基準④「出入口は施錠すること」
こちらも侵入防止という目的で設置が必要です。鍵の種類についても具体的な指定はありません。
基準⑤「立ち入り禁止の看板を設置すること」
鍵の設置に合わせて、立ち入り禁止禁止の看板も設置を義務付けられています。設置場所は「外部から見えやすい位置」に設置するように指定されています。
低圧・野立て20kW以上50kW未満の場合「立ち入り禁止看板」
高圧・野立て50kW以上の場合「立ち入り禁止+高電圧危険看板」
提示内容が規模によって異なっているので注意です。
太陽光発電所に設置するフェンスの選び方
フェンスを選ぶ5つのポイントを紹介します。高価な設備ですので、フェンス選びは慎重に行うことが大切です。
ポイント1「サビに強い加工がされているか」
フェンスは常に外気にさらされている状態です。サビに強い加工がされているかどうかでフェンスの寿命に大きな差が出てしまうので、サビ防止は重要なポイントです。
フェンスの塗装方法の1つ「静電粉体塗装」をご紹介します。
静電粉体塗装は、塗料が塗装物(フェンス)の表面に付着しやすい塗布の方法です。有機溶剤を使用しないので環境にもやさしく、効率の良い方法なので「高品質」かつ「経済的」です。
塗料膜が厚く、焼付処理を行うことで溶剤系塗料に比べると耐久性も増します。
この加工方法で作られたフェンスかどうかが1つ目のポイントです。
ポイント2「敷地が見えやすいか」
フェンスはメッシュタイプ(網目のタイプ)がオススメです。目隠しタイプのフェンスですと、防犯性が高いように思えますが「中の様子が見えない」ため、かえって危険です。
オススメはメッシュタイプ▼
ポイント3「フェンスの支柱の施工方法」
フェンスの支柱の立て方は数種類あります。施工店によって独自の施工方法をもっている場合も多いです。
コンクリート基礎
基礎ブロックを埋め込んでコンクリートを流し込み支柱を立てます。
メリット:施工後の景観が綺麗・強固に設置が可能
デメリット:施工日数や作業員数が増えるので費用が高くなる
埋め込み式
支柱が長いタイプで、地面に埋め込む施工タイプです。
メリット:低コスト・少人数での設置が可能
デメリット:地盤の影響を受けるため、地形によっては施工不可
施工方法によって、金額に大きく差が出る可能性があります。太陽光発電所のフェンス設置に関しては「どの施工方法」か指定はありません。費用や設置場所の地盤状況によって選んでください。
ポイント4「よじ登り防止の工夫」
フェンスの高さについては設置条件で具体的な数字は示されていません。施工店の用意するフェンスのタイプでは120㎝~180㎝あたりが標準のラインナップとして多いです。
上部に有刺鉄線があるフェンスであれば、よじ登られる危険性が大きく減ります。
ポイント5「安心できる施工業者かどうか」
高い費用をかけて設置するフェンスですので、施工業者選びは慎重に行うことが重要です。
太陽光発電所の設置してある地域での施工実績や、企業ホームページの情報を確認することはもちろん「○○会社 評判」などで口コミを検索すると良いでしょう。
万が一、どこの施工業者を選べばよいか分からない場合はメンテナンス業者へ相談することもオススメです。
野立て太陽光発電所のメンテナンスに必要な項目がパッケージ化された「om’s(おむず)」というメンテナンスパックに加入されている発電所事業者様であれば、最適なフェンス会社もご紹介いたします。
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まとめ
2017年4月1日の改正FIT法(固定価格買取制度)により、20kW以上の野立て太陽光発電所にはフェンス設置が義務となりました。
設置の基準の振り返り
①柵は立ち入れないような高さにすること
②太陽光発電設備は外部から触れられない距離に設置
③簡単に取り除くことができないフェンスにすること
④出入口は施錠すること
⑤立ち入り禁止の看板を設置すること
フェンスを選ぶポイント
①サビに強い加工がされているか
②敷地が見えやすいか
③フェンスの支柱の施工方法
④よじ登り防止の工夫
⑤安心できる施工業者かどうか
施工業者に迷った際は・・・
・メンテナンス業者に相談してみる
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