低圧太陽光発電のO&Mとは?保守点検の必要性とサービス選びのポイント

投稿日:2023年5月24日 | 最終更新日:2026年1月13日

O&Mとは

野立ての低圧太陽光発電所は、設置が完了して運用が始まれば、トラブル発生時の対応を除き、日常的なメンテナンスの手間はそれほどかからないというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。確かに、近年の機器や設備は性能・品質ともに向上しており、初期不良や大規模な災害などがなければ、安定して稼働し続けるものと期待したくなるのも無理はありません。

しかし、実際の運用現場では必ずしもそうとは限りません。では、どの程度の頻度で、どのようなメンテナンスが必要となるのでしょうか。本記事では、保守点検の実情と、それを踏まえたO&M(オペレーション&メンテナンス)サービスの選び方について解説します。

太陽光発電と保守点検・メンテナンス

メンテナンスは「義務」です

かつては「太陽光発電はメンテナンスフリー」と言われた時代もありました。しかし、本記事をお読みいただければ分かる通り、これは正確ではありません。そもそも、メンテナンスの必要性以前に、法令で定められています。2017年4月1日施行の改正FIT法により、50kW未満の非FIT型施設を除く太陽光発電所では、メンテナンスの実施が義務化されています。

また、法令面を抜きにしても、太陽光発電システムは経年による設備・機器の劣化を避けることができず、それに伴い発電量も徐々に低下します。安全かつ効率的な発電環境を長期にわたり維持するためには、計画的なメンテナンスが欠かせません。トラブルを未然に防ぎ、売電機会の損失を抑えるためにも、法定点検に限らず積極的に取り組む姿勢が重要です。

メンテナンスを怠るとどうなる?

野立ての太陽光発電所に設置される機器の多くは、屋外で長期間、直射日光や風雨、積雪などにさらされ続けます。近年では、災害級の気象変化も増えており、事故や故障による発電量低下、さらには発電停止に至るケースも珍しくありません。こうした状況下で、日頃の保守点検やメンテナンスを怠っていると、本来であれば防げたはずの被害が拡大する要因となることがあります。

メンテナンスの目的と効果

ここでは、保守点検やメンテナンスを行う目的について整理しておきましょう。

安全確保

設備や機器の劣化を放置した状態で自然災害が発生すると、被害が拡大しやすくなります。太陽光パネルの汚れや送電ケーブルの損傷、パワーコンディショナーの不具合などは、最悪の場合、発火につながる恐れもあります。適切なメンテナンスを行わないことで、安全性が損なわれ、結果として大きな経済的損失を招くリスクが高まります。

発電ロス防止

発電効率の低下は、そのまま売電収益の減少につながります。太陽光パネルは設置から10年程度で発電効率が低下し始め、20年後には15〜20%ほどのロスが発生すると言われています。これを抑えるためにも、設備・機器の定期的な点検が重要です。さらに、遠隔監視機器によって日常的に発電状況を把握しておけば、異常発生時にも迅速に対応でき、ロスを最小限に抑えることが可能です。

災害対策

地震や台風によって太陽光パネルが脱落したり、架台が崩落したりする事例もありますが、事前に劣化箇所を修理・補強していれば防げたと考えられるケースも少なくありません。現地の状況を日常的に確認しづらい野立ての太陽光発電所だからこそ、定期的な点検が欠かせません。

コストダウン

例えば、事故によって太陽光パネルが破損した場合、数枚であっても数十万円規模の損害になることがあります。比較的寿命が長いとされるパワーコンディショナーも、軽微な不具合の段階であれば数万円の修理で済むものが、放置することで故障・交換となり、数十万円の出費につながることもあります。日常的な点検・保守を行うことで、こうした将来的なコストを抑えることができます。

メンテナンスの具体的な内容

では、低圧太陽光発電所の保守点検やメンテナンスでは、具体的にどのような作業が行われるのでしょうか。代表的な内容を見ていきましょう。

初めての保守点検

売電開始後、初回の保守点検は、その後の安定運用において特に重要な位置づけとなります。機器や部材に不具合がないか、施工が適切に行われているかなど、初期不良を確認する機会となるため、業者に任せきりにするのではなく、事業の一環として捉えることが望ましいでしょう。

初回点検時に取得したデータは、その後の運用判断の基準となります。将来的に発電量が低下した際にも、保証期間を待たずに機器交換などの判断を行うための資料として活用できます。

メンテナンスの内容と頻度

太陽光発電施設の点検項目は、一般社団法人日本電機工業会および一般社団法人太陽光発電協会が策定する「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」にまとめられています。太陽光パネルの状態や固定状況、ケーブルや接続・接地、パワーコンディショナーの状態など、多岐にわたる項目が定められており、これに沿って点検を行うことで、一定の基準を満たすことができます。

法令で義務付けられている定期点検は、年1回程度が目安です。また、地震や台風、落雷などの自然災害発生時には、その都度、安全確認を目的とした点検が求められます。さらに、メーカーや施工会社の保証期間である10年、20年といった節目も考慮し、長期的な点検・メンテナンス計画を立てることが重要です。

保守点検とメンテナンスの違い

保守点検は、太陽光パネルや周辺機器を含む発電システムが正常に稼働しているかを確認する作業を指します。一方、メンテナンスは、清掃や部品交換など、設備・機器の状態を維持・改善するための作業です。

太陽光発電所は、太陽光パネル、パワーコンディショナー、送電ケーブルなど複数の機器で構成されています。安定した発電量を維持するためには、システム全体を良好な状態に保つ必要がありますが、いずれも専門性が高いため、O&Mサービスを活用するのが現実的な選択肢と言えるでしょう。

定期点検とO&Mサービス

保守点検やメンテナンスは、太陽光発電に関する専門知識を有する業者が提供するO&Mサービスを利用するのが一般的です。O&Mサービスとは、太陽光発電所の安定稼働を支援するサービスの総称で、発電量低下や停止による損失を防ぐことを主な目的としています。日常的なモニタリング、トラブル発生時の対応、各種報告業務などが含まれます。

多くのO&Mサービスでは、保守点検やメンテナンスもサービス内容に含まれています。ここでは、定期点検における主な作業内容の一例をご紹介します。

保守点検の主な内容

太陽光パネルの点検

パネルに損傷がないか、部材の破断・破損がないかを確認します。あわせて、土埃や鳥の糞などの汚れを除去する清掃・洗浄作業や、夏季にはパネル周辺の除草が必要となる場合もあります。

パワーコンディショナーの点検

配電盤や電線管の破損、異音の有無などを確認し、動作状況や経年劣化の進行具合をチェックします。

架台の点検

基礎部分の歪みや損傷がないかを確認します。

O&Mサービスを活用するメリット

O&Mサービスを利用することで、法令を遵守しながら計画的に売電事業を進めるための各種サポートを一括して受けることができます。保守点検・メンテナンスに加え、日常的な発電監視、事故やトラブル発生時の対応、緊急時の駆けつけ対応、点検・調査後の報告や改善提案までを一契約でカバーできる点は、大きなメリットと言えるでしょう。

一方で、O&Mサービスの対応範囲や内容、価格設定は事業者ごとに大きく異なります。同じ名称のサービスであっても、標準対応とオプションの範囲が異なるケースも少なくありません。契約時には、自身の目的に合ったサービス内容かどうかを慎重に確認することが重要です。

O&Mサービスの選び方

O&Mサービスの選び方

O&Mサービスを選ぶ際には、保守点検、遠隔監視、災害や障害発生時の緊急駆けつけといった基本メニューの内容を比較することが重要です。特に駆けつけ対応については、「異常発生時に迅速に対応してもらえるか」「専門知識を持ったスタッフが現地対応するか」など、細かな点でサービス品質に差が出ます。

また、低価格に見えても、緊急対応が有料であったり、対応回数に制限が設けられていたりするケースもあります。加えて、専門知識を持たないスタッフが現地に向かっても、十分な対応ができない可能性があります。そのため、「専門スタッフが駆けつけるのか」「現地で適切な判断・対応が可能か」といった品質面を重視することが、サービス選定のポイントとなります。

独自O&Mサービス「om’s(オムズ)」とは

om’s(オムズ)は、2025年9月時点で全国約20,000か所の太陽光発電所においてソーラーモニターの導入実績を持つ、エナジー・ソリューションズ株式会社が提供するO&Mサービスです。日々の稼働監視や定期的なメンテナンス、現地での目視点検、有事の際の駆けつけ対応に加え、台風を含む一部自然災害※1や電気的・機械的事故などによる損害をカバーする売電補償※2付きの保険をワンストップで組み込んでいる点が特徴です。

om’sのサービス範囲は、大きく以下の4つに分かれています。

  • 運営中の発電所に専用の遠隔監視機器を設置
  • 遠隔監視機器を稼働させ、発電状況を常時モニタリング
  • 異常を検知した場合、専門スタッフが速やかに現地へ駆けつけ
  • 現地状況を踏まえ、必要な手配や保険対応の準備を開始

前述の通り、O&Mサービスでは「品質」が重要な判断基準となりますが、om’sの駆けつけ対応は、現地で状況を判断し、その場で緊急対応を行ったうえで、復旧フェーズへ円滑に移行できる知識と経験を有した専門スタッフが担当します。また、多くのO&Mサービスでは年間の対応回数に制限が設けられているのに対し、本サービスでは回数制限が設けられていない点も特徴のひとつです。

さらに、もうひとつの特長として挙げられるのが「保険対応」です。売電補償付き保険を提供するだけでなく、保険代理店を介した保険会社との折衝から保険金請求に至るまでの一連の手続きを、まとめて代行しています。オーナー様の負担を抑えながら、万一の際にもスムーズな対応が可能となる体制を整えています。

サービスメニューについて

om’s(オムズ)では、会員制サービス「om’s club」を通じて、事業スタイルやニーズに応じた複数のプランを用意しています。低圧太陽光発電所向けのプランは、以下の3コースから選択可能です。

  • om’sプレミアム:月額17,380円(税込)
  • om’sゴールド:月額10,780円(税込)
  • om’sベーシック:月額9,680円(税込)

いずれのプランも、申込時に現状確認費用として110,000円(税込)が必要となります。プランごとにサービス内容は異なりますが、月額費用の中に保険料が含まれている点は共通しています。また、除草(刈り倒し)作業をオプションとして用意しているほか、雑草対策についても個別相談が可能です。

※1:om’sで提供する保険は、盗難・地震・津波・噴火、戦争・テロなどによる被害は補償対象外となります。
※2:自然災害が原因で売電が停止した場合、最大で日額10,000円を補償します。免責期間は3日間、補償期間は最長1か月となります。詳細については別途お問い合わせください。



※本記事は投稿日時点の情報に基づき作成しています。制度改正やサービス内容の変更等により、現在の情報と異なる場合があります。
※最新の情報については、om’s clubの公式サイトをご確認いただくか、弊社までお問い合わせください。
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