太陽光発電・ソーラーパネルの保険は入るべき?主要4社を比較

2024年5月7日

比較・選び方

太陽光発電投資や事業を行う上では、さまざまなリスクも伴うもの。さらに、2020年4月より「太陽光発電設備の保険加入の努力義務化」が呼びかけられているため、太陽光発電の保険への加入の重要性はより高まっています。

とはいえ、個人で保険契約を行うとなると、専門知識や時間的リソースを要するため、面倒な保険のやり取りなどを対応してくれるO&Mサービスを活用することがおすすめです。遠隔監視や緊急時の駆け付けなどまで対応してくれるものであれば、安心度や安全性も高まるのでベストでしょう。実際にはどのような保険があるのか、損保ジャパン・東京海上・三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保の主要4社の太陽光発電保険を比較していきます。

■値上げした?太陽光発電の保険の概要・費用

太陽光発電の保険は、自然災害や火災による損害やソーラーパネルの故障、さらにはケーブルの盗難など、さまざまな太陽光発電設備に関するリスクをカバーするためのもの。特に自然災害は予測不可能であるため、甚大な打撃を受けることになってしまう危険性もはらんでいます。こういったリスクを考慮すると、太陽光発電システムの保護はもちろん、万が一の時に備えるためにも保険は非常に有効であるといえるでしょう。

ただ、土砂崩れや大雪などの自然災害の増加、さらに近年多発しているケーブル盗難被害などの影響で高額な保険金の支払いが相次ぎ、保険会社の経営を圧迫。これにより保険会社各社は太陽光発電の保険料を値上げしています。さらに、損害額のうちの自己負担額である免責金額も引き上げています。免責金額が大きくなるということは自己負担金額が大きくなるので、もちろん補償金額はその分少なくなってしまいます。

■太陽光発電の保険とメーカー保証の違い

太陽光発電の保険は、自然災害や火災による損害やソーラーパネルの故障、ケーブルの盗難などのリスクから保護やカバーをするためのもの。外部からのさまざまな影響による損害を補償してくれるので、太陽光発電を安心して運用していく上でとても重要な役割を果たしてくれます。

それとは別に「メーカー保証」も存在します。メーカー保証は、主にソーラーパネルや発電機などの機器自体に対するもので、品質や性能などに不具合が生じた際には修理や交換をしてもらうことできます。一般的には、ソーラーパネルはどのメーカーも最低でも10年保証となっていることが多いです。メーカー保証は、大きく分けると「製品保証」と「出力保証」の2つがあります。製品保証はソーラーパネルやパワーコンディショナーなどの周辺機器に対するもので、出力保証はソーラーパネルの出力の性能に対するものです。

太陽光発電を安全かつ効率的に運用するためには、保険とメーカー保証のどちらも必要不可欠です。それぞれ異なる部分を保護してくれるものなので、その違いをきちんと理解して選択することが大事です。

■太陽光保険4種類の費用相場と補償内容とは…

太陽光発電の保険は、大きく分けると「火災保険」「地震保険」「施設所有者賠償責任保険」「休業損害/出力抑制補償」の4種類があります。火災保険は自然災害や落下物、盗難などの発電所の被害に備える保険のこと。地震保険は地震に備える保険のこと。施設所有者賠償責任保険は第三者に損害を与えてしまった場合に備える保険のことで、休業損害・出力抑制補償は発電停止による利益損失に備える保険のことです。

保険1.火災保険

火災保険は、自然災害や落下物、盗難などの発電所の被害に備える保険です。火災はもちろん、落雷や台風、水災、雪災などに対する「普通火災保険」と、機器や備品の損害や盗難などに対する「動産総合保険」、複数の発電所をまとめて加入できる「企業向け包括保険」の3つが代表的なものです。

過半数の方が加入されている保険で、補償対象に関してはプランによって変えることも可能ですし、補償対象を少なくすれば、保険料を安くできます。出力50kW程度であれば、年間の保険料の相場は1.5万~2万円というケースが多いです。

保険2.地震保険

地震保険は、文字通り地震に備える保険です。地震による火災や地震による損壊だけではなく、噴火や津波による埋没や流出も補償対象となっています。火災保険とセットでなければ加入できないので、その点には注意が必要です。

近年は地震が増え、起こる確率も上がっていることから保険料が値上がりしていること。そして、太陽光発電は地震に強い性質であることなどもあり、加入率は低圧太陽光発電であれば5~6%とかなり低くなっています。保険料は火災保険の保険金額の30~50%の範囲内の設定となっているので、年間6,000~1万円程度が相場と考えられます。

保険3. 施設所有者賠償責任保険

施設所有者賠償責任保険は、自然災害や太陽光発電設備の管理不備や構造上の欠陥などが原因で、他人にケガをさせたり他人の建物や物を壊したりなど、第三者に被害を与えてしまった場合に備える保険です。

加入率は低圧太陽光発電で15%程度となっており、発電所の周囲環境によっても大きく変わってくるようです。近辺に住宅が多く存在したり、人の行き来や車の通行量が多く見られたりする場合は、リスク回避のためにも加入を考えたほうがいいかもしれません。年間の保険料の相場は5,000円程度というケースが多いです。

保険4. 休業損害/出力抑制補償

休業損害は、自然災害や事故などによってソーラーパネルなどの太陽光発電設備が損傷し発電停止や休業状態となった場合に、復旧するまでの間に失われてしまった売電金額を補償するものです。加入率は低圧太陽光発電では13%程度ですが、高圧の場合は休業期間の損害額も大きくなるため、45%程度と一気に高くなります。年間の保険料の相場は6,000~7,000円台程度というケースが多いです。

出力抑制とは、電力の需要量と供給量のバランスを保つために、必要以上の電力の買い取りを停止し、需要に合わせて発電設備の出力を制御する措置のこと。出力抑制が行われると、当然ながら売電利益にもロスが生じてしまうので、その損失をカバーするための保険が出力抑制補償です。

■太陽光発電の保険に入るべき理由とは…

近年は保険料の値上げや免責金額の引き上げが起こっていますが、太陽光発電投資や事業を行う上ではやはり保険加入は欠かせないもの。台風や大雨、落雷などの自然災害によるソーラーパネルの損傷やケーブルの盗難被害といったリスクに備えておけば安心度は一気に高まります。自然災害などで発生した損害はメーカー保証の適用外であるので、そこはきちんと保険でカバーするべきでしょう。

また、設備の故障や不具合が発生し、発電量の低下や停止が起こった場合には、想定していた収益が得られなくなる可能性も出てきます。そういった損失を補償してくれる保険もありますし、第三者へ被害を与えてしまう危険性に備えることもできるので、状況に応じて適切な保険を選ぶことが大切です。

■太陽光保険会社の選び方&主要4社の比較

太陽光発電の保険を選ぶ際には、保険料だけではなく、補償期間、補償対象、補償範囲、補償限度額、免責金額などを細かくチェックする必要があります。太陽光発電の設備内容や発電所の周辺環境を考慮し、最適な補償内容にしていくことが重要です。そして、各保険会社が提供する商品の内容を比較検討することも大切。太陽光発電の保険は、損保ジャパン・東京海上・三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保がシェアの大半を占めているので、この主要4社の保険の特徴を比較していきます。

損保ジャパンの太陽光発電の保険の特徴

損害保険ジャパンの太陽光発電に対応している保険としては「企業総合補償保険」があります。この保険の一番の特長は、火災をはじめとする自然災害はもちろん、今までの火災保険では対象外となっていた事故を含め、さまざまなリスクに対して補償をしてくれること。また、設備の損害だけではなく、休業により利益の減少や支出した費用への補償も可能です。支払限度額や自己負担額(免責金額)の設定も行えるので、合理的な保険設計や保険料コストの最適化が図れます。

東京海上の太陽光発電の保険の特徴

東京海上の太陽光発電に対応している保険としては「超ビジネス保険」があります。この保険は「財産に関する補償」「工事に関する補償」「休業に関する補償」「賠償責任に関する補償」「労災事故に関する補償」の5つの中から必要な補償を選択することができます。火災や落雷、風災といった自然災害から盗難、機械的事故、破損事故などに対応しているため、太陽光発電の保険としてとても適しています。1つの保険でまとめて補償ができる点とそれぞれの状況に合った保険設計ができる点が大きなメリットといえるでしょう。

三井住友海上の太陽光発電の保険の特徴

三井住友海上の太陽光発電に対応している保険としては「ビジネスキーパー(事業活動総合保険)」があります。この保険はさまざまなリスクによる損害をまとめて補償してくれます。基本補償は、財物損害のみ、休業損害のみ、財物損害と休業損害の両方から選ぶことができて、さらにそこにそれぞれのニーズに合わせてオプション特約を付けることも可能です。独自の補償設計が行えるため、幅広いリスクを選んでまとめて補償対象にすることができるので、希望に沿ってくれやすい保険であるでしょう。

あいおいニッセイ同和損保の太陽光発電の保険の特徴

あいおいニッセイ同和損保の太陽光発電に対応している保険としては「タフビズ(事業活動総合保険)」があります。この保険は事故発生前から営業再開までトータルでバックアップをしてくれるもの。基本補償は、物損害の補償、休業損害の補償、物損害と休業損害の両方から選択できます。そこに、地震補償や気象情報アラート、被災設備等修復サービスなどのオプション特約を付けることも可能です。状況に合わせて最適なオプションを設計していく形になります。

■まとめ

太陽光発電事業を行うのであれば、保険加入は必要不可欠です。どの保険がベストなのか、各社から見積もりを取って条件を比較してみることも大事でしょう。また、保険加入をはじめ、駆付けや点検までを一本化にしたO&Mサービスもあるので、そういったサービスとセットで保険契約をするのがおすすめですよ。

 

参考:
https://f-three.co.jp/solar_insurance/insurance_type/recommended_insurance/
https://www.sompo-japan.co.jp/hinsurance/risk/property/order/
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/hojin/jigyo/cho_business/about/
https://www.ms-ins.com/pdf/business/property/biz-keeper.pdf
https://www.aioinissaydowa.co.jp/business/product/toughbiz/jigyokatudo/

 

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