太陽光発電の盗難対策と保険について知ろう。安心して太陽光発電投資を続けるために
投稿日:2025年3月24日 | 最終更新日:2025年4月15日
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太陽光発電システムは長期的な投資として多くの方に選ばれていますが、設備の価値が高いことから、残念ながら盗難のリスクも無視できない現実があります。銅線ケーブルやパネルなどの部材は換金性が高く、特に管理が行き届いていない遠隔地の発電所では被害が報告されています。
本記事では、太陽光発電所の盗難リスクとその対策、そして万が一の際に備えるべき保険について詳しく解説します。
太陽光発電所の盗難事例の実態
盗難発生件数の推移
太陽光発電設備の盗難は、近年増加傾向にあります。特に銅の価格が高騰している影響でケーブルは狙われやすく、一度の被害額が数百万円に及ぶケースも少なくありません。
実際に、太陽光発電設備の盗難被害は年々増加しており、特に管理が行き届きにくい山間部や郊外の発電所では被害が集中しています。
盗難が増加している理由
なぜ太陽光発電設備の盗難が増えているのでしょうか。主な理由としては以下が挙げられます。
- 部品の換金性の高さ(特に銅線などの金属部品)
- 管理が行き届かない遠隔地の発電所の増加
- メンテナンス不足による監視体制の脆弱性
特に人目につきにくい立地の発電所では、夜間に組織的な窃盗団によって短時間でケーブルが大量に持ち去られるケースが報告されています。盗まれたケーブルは中古市場で転売されたり、部品として利用されたりするため、追跡も困難です。
「隣の発電所が被害に遭った」という話は、多くの太陽光発電事業者にとって他人事ではなくなっています。単に「うちは大丈夫だろう」と考えるのではなく、積極的なリスク管理が今求められているのです。
太陽光発電設備の盗難対策
防犯システム導入(AIセンサー、遠隔監視、人感センサーなど)
太陽光発電設備を守るための最初の防衛線は、効果的な防犯システムです。現在では技術の進歩により、様々な選択肢があります。
監視カメラシステム
24時間体制で発電所を監視し、不審な動きがあれば即座に検知するシステムは基本的な対策として効果的です。特に最新のAI搭載カメラは、人の動きと風による揺れなどを区別し、誤報を減らすことができます。
遠隔監視システム
スマートフォンやタブレットから発電所の状況をリアルタイムで確認できるシステムは、日常的な管理を容易にします。発電量の急激な低下なども検知できるため、盗難の早期発見にも役立ちます。
人感センサー・侵入検知システム
敷地内に不審者が侵入した際に警報を鳴らしたり、管理者に通知したりするシステムは、盗難の未然防止に大きく貢献します。
これらは単体でも効果がありますが、組み合わせて使用することでさらに高い防犯効果が期待できます。「百聞は一見に如かず」というように、明らかに監視されていることを視覚的に示すだけでも抑止力となるのです。
アルミケーブルへの切り替え(銅線より盗難リスクが低い)
太陽光発電所の盗難被害の中でも特に多いのが、銅線の盗難です。銅は市場価値が高く、比較的容易に持ち去ることができるため、狙われやすい部品の一つです。
この対策として効果的なのが、銅線からアルミケーブルへの切り替えです。アルミは銅に比べて市場価値が低く、重量あたりの価格も安いため、盗難のターゲットになりにくいという利点があります。また、最新のアルミケーブルは性能面でも銅線に遜色なく、長期的なコスト削減にもつながることがあります。
「銅線をアルミに替えるのはコストがかかる」と感じるかもしれませんが、一度の盗難被害と比較すれば、その投資は十分に価値があるものです。盗難による損失は金銭的なものだけでなく、修復の時間や発電停止による機会損失なども考慮する必要があります。
物理的対策(囲いフェンス、ケーブル埋設やバリケード設置)
物理的な障壁を設けることは、盗難対策の基本中の基本です。具体的には以下のような対策が効果的です。
頑丈なフェンスの設置
単なる境界線ではなく、容易に乗り越えられない高さと強度を持ったフェンスは強力な抑止力となります。有刺鉄線や監視カメラと組み合わせることで、さらに効果を高めることができます。
ケーブルの地下埋設
露出している配線は盗難の標的になりやすいため、可能な限り地下に埋設することが望ましいです。初期コストはかかりますが、長期的な安全性を考えれば価値のある投資です。
パネルの固定強化
特殊なボルトや工具を使用しないと外せない固定方法を採用することで、パネル自体の盗難リスクを下げることができます。
これらの物理的対策は、「簡単に盗めない」という状況を作り出すことが目的です。犯罪者の多くは、リスクとリターンを天秤にかけて行動します。盗むのに時間とコストがかかると判断されれば、自ずと標的から外れるという効果が期待できるのです。
保険による太陽光発電設備のリスクマネジメント
太陽光発電専用保険の種類と補償内容
太陽光発電設備の盗難に備えるためには、適切な保険への加入が不可欠です。一般的な財物保険では補償されないケースもあるため、太陽光発電に特化した保険を選ぶことが重要です。
太陽光発電設備総合保険
設備自体の損害から収益減少まで幅広くカバーする総合的な保険です。盗難はもちろん、自然災害や火災による損害も補償範囲に含まれることが多いです。
※参照:動産総合保険 – 三井住友海上
メガソーラー専用保険
大規模な太陽光発電所向けに設計された保険で、高額な設備に見合った補償額を設定できます。盗難対策設備の有無によって保険料が変動するケースもあります。
※参照:メガソーラー向け保険プログラム – マーシュ ジャパン
収益補償保険
盗難や災害によって発電ができなくなった場合の売電収入の損失を補償する保険です。修理期間中の収益減少をカバーするため、事業の安定性を保つ上で重要な役割を果たします。
※参照:FIT売電保証サービス
保険を選ぶ際は、単に保険料の安さだけでなく、補償内容や条件、保険会社の対応力なども考慮することが大切です。「安物買いの銭失い」ということわざがあるように、重要なのは万が一の時に十分な補償が受けられるかどうかです。
保険市場の動向と盗難補償に関する現状
太陽光発電設備の保険では通常、火災保険の範囲内で盗難もカバーされますが、補償条件は設置場所や防犯対策によって大きく変動します。保険会社はリスク評価を行い、防犯カメラや定期的な見回り、遠隔監視システムの有無を確認します。防犯対策が不十分だと保険料が高くなるため、保険加入前に防犯体制を整えることで、有利な条件での加入と盗難リスクの低減を同時に実現できます。
保険選択時のポイント
太陽光発電所の保険選びでは以下のポイントに注意しましょう。
- 補償範囲の確認:太陽光発電 保険 盗難の三要素がカバーされているか、自然災害や第三者による損害も補償されるか確認します。
- 免責金額と上限額:発電所規模に合わせた適切な金額設定を確認しましょう。
- 付帯サービス:定期点検や緊急時サポートなどの追加サービスがあれば日常管理に役立ちます。
- 防犯設備による割引:監視カメラやセンサー設置で保険料が割引されるケースもあります。
- 保険選びは単なるコスト比較ではなく、発電所の状況やリスク許容度を考慮して複数の保険会社から見積もりを取ることをお勧めします。
ケーススタディ
実際の被害事例
2022年11月末時点で盗難による支払保険金前年比が2.2倍に達しています。エナジーソリューションズ社のom’s clubサービスでも実際に被害が報告されています。
例えば、2023年12月5日に茨城県東茨城郡で起こった盗難被害です。主幹ブレーカーから集電箱間のCVTケーブル約60mが盗難され、フェンスも損壊。千葉県や三重県でも同様の被害が発生しています。近年の盗難被害の傾向として、窃盗団の活動範囲が拡大しており、被害地域が北関東から全国へ拡大しています。そして銅価格上昇に伴い被害件数も増え、被害額も増加しているのが現状です。
監視カメラは抑止力になりますが、夜間の犯行や機械警備の到着前に逃走されるケースも多いため、単一の防止策ではなく、複合的な対策が必要です。
被害への対応
盗難被害に遭った場合の対応手順は次のとおりです。
- 警察への通報と現場保全:証拠写真を撮影し、痕跡を記録します。
- 被害状況の記録:盗まれた機器の種類、数量、シリアル番号などを記録します。
- 保険会社への連絡:迅速に連絡し、必要な手続きを確認します。
- 応急措置の実施:二次被害を防ぐための措置を講じます。
保険請求のポイント
補償を受けるためのポイントは以下の通りです。
- 迅速な報告:被害発見後すぐに保険会社に連絡します。
- 証拠の収集:被害状況の写真や設備の購入証明書を保全します。
- 損害額の算定:再調達価格や修理費用を算出します。
- 復旧計画の立案:保険金を活用した復旧と再発防止策を計画します。
日頃から保険内容を定期的に見直し、発電所の状況変化に応じた適切な補償内容を維持することが重要です。
まとめ
太陽光発電は重要な長期投資であり、盗難対策と適切な保険加入が事業継続の鍵となります。防犯システム導入、フェンス設置、アルミケーブル使用など効果的な対策を実施し、補償範囲と条件を十分確認した保険に加入しましょう。短期的なコスト削減より安定運営のための投資が重要です。
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