野立て太陽光発電所の落雷対策 故障リスクと事前にできる備えとは

投稿日:2024年7月29日 | 最終更新日:2026年1月22日

災害対策

太陽光発電システムは、再生可能エネルギーとして広く普及していますが、屋外に設置される設備である以上、落雷による影響を完全に避けることはできません。特に野立て太陽光発電所では、立地条件によって雷の影響を受けやすいケースもあります。

本記事では、太陽光発電システムと落雷の関係について整理したうえで、被害を最小限に抑えるための具体的な対策と、万が一に備える補償・保険について解説します。

そもそも太陽光発電と落雷の関係とは

太陽光発電システムは屋外に設置されるため、雷雨時には落雷の影響を受ける可能性があります。落雷は大きく分けて「直撃雷」と「誘導雷」の2種類に分類されます。

直撃雷とは、太陽光パネルや架台、周辺の構造物などに雷が直接落ちる現象を指します。発生頻度は高くありませんが、ひとたび発生すると設備に深刻な損傷を与えるおそれがあります。特に、周囲に高い建物が少ない場所や高台、山間部などでは、立地条件によって直撃雷のリスクが相対的に高まる場合があります。

一方、誘導雷は、雷が近隣に落ちた際に発生する電磁誘導や電圧変動によって、電気設備に影響を及ぼすものです。直撃雷と比べると被害が限定的なケースも多い一方で、広範囲に影響が及びやすく、太陽光発電設備においては比較的発生しやすい被害とされています。

誘導雷によって電圧サージが発生すると、パワーコンディショナーや監視装置、通信機器などが故障し、発電停止や発電量の低下につながる可能性があります。状況によっては、設備の故障をきっかけに火災などの二次被害が発生するリスクも否定できません。

このような落雷リスクを正しく理解し、適切な対策を講じることが、太陽光発電所の安定運用と長期的な収益確保につながります。

落雷被害を抑えるための対策

落雷による太陽光発電システムの被害を抑えるためには、複数の対策を組み合わせて講じることが重要です。

まず基本となるのが、適切な接地(アース)です。接地は、雷などによって発生した過電流や電圧を地面に逃がす役割を担い、電気機器へのダメージを軽減します。接地工事には専門的な知識が必要となるため、設計や施工の段階から専門業者による適切な対応が求められます。

次に有効な対策として、サージ防止器(SPD)の設置が挙げられます。SPDは、雷による過電圧(雷サージ)が発生した際に、それを吸収・放電することで、パワーコンディショナーや配電盤などの電気機器を保護します。特に低圧太陽光発電所では、誘導雷対策としてSPDの設置が重要とされています。

また、避雷針の設置も対策の一つとして検討される場合があります。避雷針は雷を防ぐ装置ではなく、雷が発生した際に電流を安全に地面へ誘導し、設備への被害を軽減する役割を持ちます。低圧太陽光発電所において法令上必須とされるケースは一般的ではありませんが、設備規模や立地条件、雷の発生状況によっては、有効な対策となることもあります。

補償・保険で予め落雷に備える

物理的な対策を講じていても、落雷被害を完全に防ぐことは困難です。そのため、万が一の損害に備えて、保険や補償制度を活用することも重要なリスク管理の一つといえます。

火災保険

火災保険は、落雷による損害を補償対象とする場合が多く、太陽光発電設備のリスク対策として活用されることがあります。ただし、補償内容は契約条件によって異なり、太陽光発電設備が建物付帯設備として扱われるのか、動産として扱われるのか、また特約の有無によっては補償対象外となるケースもあります。

そのため、火災保険に加入している場合であっても、太陽光パネルやパワーコンディショナーが落雷被害時に補償対象となるかどうかを、事前に確認しておくことが重要です。

メーカー保証・自然災害補償

メーカー保証は、製品の初期不良やメーカー起因による故障に対する保証が中心であり、落雷や台風などの自然災害による損害は、原則として保証対象外となります。

一方で、メーカーや販売事業者によっては、自然災害補償や保険が付帯、またはオプションとして用意されている場合があります。これらの補償はメーカー保証とは役割が異なり、自然災害による突発的な損害に備えるためのものです。補償範囲や補償期間、免責条件は事業者ごとに異なるため、内容を十分に確認したうえで検討することが大切です。

まとめ

太陽光発電システムにおける落雷対策は、接地やSPDの設置といった基本的な設備対策を行ったうえで、立地条件に応じた追加対策を検討することが重要です。また、物理的な対策だけでなく、火災保険や自然災害補償などを組み合わせることで、万が一の被害にも備えることができます。

保険や補償制度は専門性が高く、内容も多岐にわたるため、複数の保険会社や事業者から情報を収集し、自身の発電所に適したプランを選択することをおすすめします。

※本記事は投稿日時点の情報に基づき作成しています。制度改正やサービス内容の変更等により、現在の情報と異なる場合があります。
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