値上げ幅はどれくらい?太陽光発電保険の値上げ&免責金額引き上げを解説
投稿日:2024年7月29日 | 最終更新日:2024年7月29日
│比較・選び方│
太陽光発電は環境にやさしいエネルギー源として多くの支持を集めていますが、その維持にはさまざまなリスクも伴います。そのため、太陽光発電システムの所有者の多くは、リスクに備えて保険に加入しているもの。しかし近年、保険料の値上げや免責金額の引き上げといった動きが起きているので、コスト面とのバランスを考えながら最適な保険を選ぶことがより重要になってくるでしょう。ただ、保険の契約を行うのは大変な部分も多いので、保険会社とのやり取りなども含めて対応してくれるO&Mサービスを活用することがおすすめです。新たな保険を探していたり、保険の見直しを考えていたりする人のためにも、今回は太陽光発電保険の値上げと免責金額引き上げについて解説します。
■太陽光保険値上げの背景を解説
太陽光発電の保険料が値上がりしているのにはいくつかの理由が考えられますが、主な要因の1つとして「自然災害の増加」が挙げられます。近年増加している台風や大雪、水害といった自然災害によって、ソーラーパネルの損壊やシステムの故障なども増えてきています。また、「電気ケーブルの盗難被害の多発」も値上がりの原因と言えます。銅の価格高騰により、電気ケーブルをはじめとした配線類に含まれる銅線が高値で取り引きされるため、盗難被害に遭いやすい状態になってしまっています。ソーラーパネルも高値で売却しやすいので、盗難に遭う危険性は決して低くはありません。こういった損害に対しての保険金の支払いがかなり高額なものとなり、保険会社の経営を圧迫してしまっているため、保険料の値上げに踏み切ったという背景があるようです。
■2022年10月から保険料の値上げ
近年の気候変動の影響で起こるさまざまな自然災害の増加による経営圧迫などもあり、損害保険各社は2022年10月に火災や災害の損害を補償する企業保険料を一斉に値上げしました。損害保険料率算出機構が火災保険の保険料の目安となる参考純率を平均10.9%引き上げ、2005年の平均8.7%を上回る過去最大の引き上げ幅となりました。太陽光発電の保険料も約20~30%増という大幅な値上げが行われています。損害保険ジャパンによると、自然災害の増加に加え、ケーブルやソーラーパネルの盗難被害の多発などもあり、2020年を除くと太陽光発電の保険は収入を支払額が上回っている状態にあるとのこと。恒常的な赤字が続いているため、値上げをしないと保険サービスを維持できなくなっているのが実状なのでしょう。
■2023年7月頃から免責金額の上昇
「免責金額」とは、保険契約において、事故が発生した際に契約者が自己負担する金額のことを指します。例えば、免責金額が10万円に設定されていて50万円の損害が発生した場合には、10万円は契約者が自己負担し、残りの40万円を保険会社が補償してくれます。免責金額の主な目的としては、免責金額を高く設定することによる保険料の軽減、少額の損害を契約者が自己負担することによる保険会社の事務負担の軽減、契約者が不用意に保険を利用するモラルハザードの抑止などが挙げられます。太陽光発電の保険における免責金額も、保険料の値上げと同様に、頻発する自然災害やケーブル盗難の多発などによる保険金の支払いの増加が原因で、2023年7月から損害保険各社で上昇を見せています。内容は保険会社によって異なりますが、免責金額は100万円か発電所の設備工事費用の10%というのが、おおよその水準となっているようです。
■値上げ&免責金額引き上げの今、保険に入るべき?
保険料や免責金額が引き上げられている今、保険に入る必要性があるのだろうかと悩んでしまう人もいるでしょう。免責金額が100万円であるのなら、100万円を越えた損害しか補償されないので、あまり意味がないのではないかとも思ってしまうかも…。でも、太陽光発電システムはそもそも高額設備であるため、破損や故障が起こった際の修理費や工事費なども高額になりがちです。それらが全て自己負担となるリスクを考えると、やはり保険加入の重要度はかなり高くなるはずです。また、ソーラーパネルは台風や落雷、豪雨などの影響を受けやすいので、自然災害が頻発している近年は保険によるリスクカバーは欠かせません。地震の多発する地域に発電所がある場合は、地震保険や地震特約に加入しておくと安心度もアップします。もちろんコスト面の問題もあるので、発電所の置かれた状況や必要としている補償や特約などをきちんと考慮し、それぞれのニーズにマッチした最適な保険を選ぶことが最も大切なポイントです。
■まとめ
保険料の値上げや免責金額の引き上げが起っているものの、やはり太陽光発電システムを運用していく上では保険の加入は必須と言えます。自然災害をはじめとしたさまざまなリスクに備えておくためにも、コストバランスを考えながら、必要な保険を選ぶようにしてください。保険の契約を行うことに不安を感じているのなら、保険会社への対応や手続きも含めて行ってくれるO&Mサービスもあるので、そういったサービスとセットで保険契約をするのも一つの方法ですよ。
参考:
https://enetech.co.jp/guide/solar-power-insurance/
https://www.nomura.co.jp/fic/fin-wings/column/fire-insurance2022/
https://newswitch.jp/p/37037