近所から苦情が出る?ソーラーパネルの反射光トラブルとは?

投稿日:2024年8月27日 | 最終更新日:2024年8月27日

災害対策

ソーラーパネルの反射光トラブルは、特に産業用や大規模な設置において問題となることが多いです。反射光は太陽光がパネル表面に当たった際に発生し、周囲の建物や住居に影響を及ぼすことがあります。

この光の反射は「光害」とも呼ばれ、近隣住民にとっては迷惑行為と受け取られることも少なくありません。主な被害としては、反射光が窓に差し込み、眩しさや室内の温度上昇を引き起こすことが挙げられます。特に夏場には、反射光が原因で室内温度が急上昇し、熱中症のリスクが高まることもあります。さらに、反射光がもたらす不快感は、日常生活に大きな支障を与え、住環境の質を著しく低下させる可能性があります。

このようなトラブルは、自分では気づきにくいことが多く、設置者が無意識のうちに近隣住民に迷惑をかけてしまうケースも少なくありません。反射光問題を事前にしっかりとシミュレーションし、適切な対策を講じることが重要です。

裁判事例 #1: 姫路の事例

2015年、姫路市において約1MW(メガワット)の大規模な太陽光発電所からの反射光が原因で、近隣の民家に光が差し込み、住民が熱中症を訴える事件が発生しました。裁判では、反射光が直接的に室温を上昇させたかどうかが争点となりましたが、最終的に原因の立証が難しく、2017年に原告側が訴訟を取り下げる形で終結しました。このケースは、反射光トラブルがどれほど深刻な問題となり得るかを示す一例です。また、事前に反射光の影響をシミュレーションしておくことの重要性を改めて認識させる出来事でもありました。
https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/302961/051000081/

裁判事例 #2: 横浜の事例

横浜市でも2012年にソーラーパネルの反射光問題が発生しました。この事件は、住宅用のソーラーパネルが原因で反射光が隣家に差し込み、住民が訴えたものです。1審では損害賠償請求が認められましたが、2審では「受忍限度」を超えていないとして、賠償請求が棄却される逆転判決が下されました。この「受忍限度」とは、ある程度の不便や不快感を社会生活上耐えなければならない限度のことを指します。この事件では、反射光が差し込む時間が比較的短時間であり、カーテンでの対策も可能であったため、受忍限度を超えていないと判断されました。
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2000S_Q2A420C1000000/

トラブル回避のための太陽光の反射光対策5選

ソーラーパネルの設置方向は、反射光問題を回避するために非常に重要です。特に北向きに設置すると、反射光が隣接する建物に直接差し込みやすくなります。そのため、設置時には南向きや東向き、西向きなどを優先することが推奨されます。南向きに設置することで、反射光が直接隣家に向かうリスクを減少させることができます。また、ソーラーパネルの設置角度にも注意が必要です。

太陽光発電システムの反射光トラブルを未然に防ぐための具体的な4つの対策について紹介します。

現地で実際に確認する

現地で実際に太陽光がどのように反射するかを確認することをまず忘れてはいけません。
例えば、ソーラーパネルの代わりに鏡を使用して光の軌道を確認する方法があります。これにより、どの建物やエリアに反射光が当たる可能性があるかを事前に把握することができます。また、反射光が当たる建物やエリアが確認された場合は、設置位置や角度を変更するなどの対策を講じることができます。

反射防止塗料やシートを使用する

ソーラーパネルの反射光を防ぐための効果的な方法として、反射防止塗料やシートの使用があります。これらの材料は、太陽光パネルの表面に塗布または貼付することで、反射光を大幅に低減する効果があります。反射防止塗料は、太陽光を吸収する特殊な成分が含まれており、反射光を拡散させることで眩しさを軽減します。また、反射防止シートは透明なフィルム状のもので、簡単にパネル表面に貼り付けることができるため、設置後でも対応が可能です。

防眩パネルを検討する

防眩パネルは、表面に特殊なコーティングが施されており、反射光を拡散させる機能があります。このコーティングにより、反射光が直接的に隣接する建物やエリアに差し込むことを防ぎ、眩しさを軽減することができます。また、防眩パネルは耐久性にも優れており、長期間にわたってその効果を維持することができます。

近隣住民の承諾をとっておく

事前に設置について近隣住民に説明し、反射光の影響について理解を求めることも重要です。 例えば、設置予定の太陽光パネルの配置図や反射光のシミュレーション結果を共有し、どのような対策を講じるかを説明したり、設置後に問題が発生した場合の対応策についても説明しておくと万全でしょう。

まとめ

反射光のトラブルは、裁判にもつながりかねない問題です。
そのトラブルを防ぐために、可能な限りできる対策を施し、事前の住民への理解を求めることが重要です。

 

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