太陽光発電システムのパワーコンディショナーが故障?修理・交換の見極め方を解説

投稿日:2024年8月30日 | 最終更新日:2024年8月31日

保守・メンテナンス

太陽光発電システムにおいて、パワーコンディショナーはとても重要な役割を果たしています。だからこそ、故障させないように注意が必要ですし、万が一、故障をしてしまった場合には迅速に対処しなければいけません。とはいえ、自分で故障や不具合に対応するのは難しい部分も多いので、トラブル時の駆けつけやメンテナンス管理などを行ってくれるO&Mサービスを活用するのもいいでしょう。費用相場も含めて、今回はパワーコンディショナーの修理や交換の見極め方について紹介していきます。

■そもそもパワーコンディショナーの役割とは…

太陽光発電のモジュールで生成した電気エネルギーは直流電力です。でも、家庭などの電気は交流電力であるため、そのままでは使用できません。そこで、発電された直流電力を交流電力に変換するのがパワーコンディショナーの役割です。ほかにも、発電効率を最大化させて、常に安定した電力供給ができるように調整する働きなども担っています。パワーコンディショナーは、太陽光発電システムを有効的に活用するためのさまざまな重要な機能を担っていると言えるでしょう。

■パワーコンディショナーの故障が疑われる症状とは…

パワーコンディショナーが故障した際に起こる症状にはさまざまなものがあります。わかりやすい症状の1つは「電源が入らない・動作しない」というものです。ただ、パワーコンディショナーを再起動すると正常に動作するケースもあるので、一度電源を落として数分待った後に再起動を行ってみてください。再起動を行っても電源が入らない場合は故障している可能性があります。「エラーメッセージが表示される」のも故障した際に起こる症状です。エラーコードの内容、原因、対処法はメーカーによって異なるため、各メーカーのエラーコードを確認しましょう。ほかにも、パワーコンディショナーの故障が疑われる症状はいくつか存在します。主にどのような症状が起こりやすいのか、それぞれ詳しく解説していきます。

発電量が急激に下がった

太陽光による発電量は、天候、時間帯、時期などによって変動します。曇りや雨の日、早朝や夕方、梅雨時期や冬場は発電量が比較的低いことも多いです。そういった点を考慮した上で、通常よりも極端に発電量が減っていたり、晴れているのにあまり発電しなかったりする場合には、パワーコンディショナーの故障もしくは故障の前兆が考えられるでしょう。

異音がする

パワーコンディショナー内部のモーターの異音は、劣化もしくは故障の前触れの恐れがあります。特にファンの故障が多く見られますが、異物が詰まっていたり挟まっていたりすると、パワーコンディショナーから異音がする場合があります。モスキート音のような高い音や動作時のスイッチに関連した音などもございますが、「ブーン」といった音はモーターの不良による異常の可能性があります。モーターが故障すると放熱できなくなり、基盤を含む故障にもつながりかねないので注意が必要です。

異常な発熱・発煙

パワーコンディショナーの本体が触れないほど熱くなっていたり、冷却ファンが異常に高速で回転したりしている場合は、内部の放熱がうまく行われていない状態の可能性が高く、故障が疑われます。また、パワーコンディショナーからの発煙や焦げ臭は明らかな故障のサインです。接続部から火花が発生してしまうと、周辺機器や配線類に燃え移って火災に発展する危険性もあるので、一旦運転を停止したほうがいいでしょう。

■パワーコンディショナーが故障した場合の対応方

パワーコンディショナーに故障が疑われる症状が見られた場合、どうすればいいのか悩んでしまうかもしれません。そのまま放置をしてもいいのか、修理をするべきなのかを含めて、どのような対応がベストなのかを解説していきます。

パワーコンディショナーの故障を放置するとどうなる?

パワーコンディショナーの故障を放置しておくと、直流電力から交流電力への変換もうまくいかなくなるため、自宅などで使用する電力や売電できる電力にも影響を及ぼします。電気代の節約額や売電収入の減少にもつながってしまうでしょう。さらに、劣化がどんどん進むと出力が落ちてしまい、最悪の場合、停電してしまうケースも考えられます。

パワーコンディショナーはDIYで自分で修理・交換ができる?

パワーコンディショナーの交換には電気工事が必要なため、「電気工事士」の資格を持っていない人が行うと法律違反になります。また、作業には感電をはじめとしたさまざまな事故やケガのリスクも伴うので、きちんとした専門知識を持っていないと非常に危険です。不用意に触ると、それがさらなる故障の原因になってしまったり、メーカー保証を受けられなくなったりすることもあるので、DIYでの修理や交換はやめておくべきでしょう。

まずは保証期間を確認し、メーカーに相談を!

パワーコンディショナーに故障や不具合の症状が見られた場合は、まずはメーカーに連絡をして状況について細かく確認をしてもらってください。メーカー保証に関しては、無償で5~10年保証されるものが一般的で、メーカーによっては有償で保証期間を延長できるものもあります。保証期間や保証内容はメーカーによってそれぞれ異なるため、きちんと把握しておくことが大切です。

■パワーコンディショナーの交換費用に関して

パワーコンディショナーが故障した際に、修理をするか、新しいものに交換するかの判断は難しいところ。メーカー保証期間内であれば、ひとまず保証を利用して修理をしたほうがいいでしょう。ただ、保証期間内であっても、故障原因などによっては保証の対象外となるケースもあります。メーカー保証で対応ができなかったり、パワーコンディショナーを使用し始めてから年月が経っていたりする場合は、修理費や故障内容の調査期間に起こる売電ロスなどを考慮すると、新品に交換したほうがお得になるケースが多いです。購入費用は時価で日々変動しますので、詳しく知りたい方は、各販売店様にお問合せしてみてください。

■パワーコンディショナーの故障の原因とは…

パワーコンディショナーの故障や不具合が生じてしまう背景には、さまざまな原因が考えられます。故障が起こると発電量の低下や売電利益の減少が起こるだけでなく、太陽光発電システム全体の安全性も低下させてしまいます。影響が多岐に及ぶケースもあるので、どういったことが故障につながりやすいのかは理解しておくべきでしょう。

自然災害による損傷

屋外に設置されているパワーコンディショナーは、台風、落雷、豪雨、豪雪、地震といった自然災害によって損傷してしまうことがあります。雨水が侵入することで基盤が故障したり、落雷や小石、木の枝などの飛来物で回路や電子部品が破損したり、接続ケーブルに傷がついたりするケースなどが多く見られます。屋内設置のものでも、落雷によるショートや地震による損傷などが生じることがあるので、自然災害が起こった後は、異常がないか点検をしたほうがいいでしょう。

フィルターの目詰まり

太陽光発電システムで最も頻繁に起きるトラブルと言われているのが、パワーコンディショナーのフィルターの目詰まりです。(ただしファンレスタイプの場合は該当しません。)通気口に設置されている換気フィルターがホコリや異物などで詰まってしまうと、適切な冷却が行われずに放熱ができなくなります。これによりパワーコンディショナー内部の温度が上昇し、故障を引き起こすことがあります。

取り付け不備

パワーコンディショナーを設置する際の不備によって故障を引き起こしてしまう場合もあります。取り付けがきちんと行われていなかったり、配線が適切ではなかったりすると不具合が生じやすいです。接続部分が緩んでいる、断線が起きているなどといったケースもあるので、配線におかしな部分がないか目視点検を行うことも重要です。

経年劣化・寿命の不備

パワーコンディショナーの寿命は、一般的に10~15年と言われています。時間とともに経年劣化はどうしても進んでしまうため、電子部品や回路の劣化が故障につながることも多いです。長期間の運転や過負荷状態での使用、さらに適切なメンテナンスが行われていない場合などには、寿命が早まってしまうこともあるので、少しでも長く稼働できるような状態を保つことが大切です

■パワーコンディショナーの故障に備えるには…

パワーコンディショナーが故障してしまうと、損害が生じるだけではなく、太陽光発電システム全体の安全性の低下も招くことになります。だからこそ、故障が起こる確率を少しでも減らすように対処しておくべきですし、故障が起こってしまった際の損害に対して事前に備えておくことも必要不可欠です。具体的にどういった備えが必要なのか、詳しく解説していきます。

火災保険・自然災害保障への加入

火災保険や自然災害保障へ加入しておくと、故障や事故が起きた際にさまざまな補償やサポートをしてくれます。自然災害によってパワーコンディショナーが損傷し、発電量が低下した際の損失や機器の修理や交換にかかった費用などを補償してくれるものもあります。幅広いオプションが付帯していて、トラブル対応の強い味方になってくれる保険も多いので、求める条件に合った保険を選ぶといいでしょう。

定期的なメンテナンス

故障を未然に防いだり最小限に抑えたりするためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。日頃からチェックをしておくことで、異常にも早く気づけてすぐに対処ができます。例えば、パワーコンディショナーの外箱に腐食や破損がないか、動作音はおかしくないか、エラーメッセージはないかといった日常点検は自分で行えるメンテナンスです。ただ、電気点検や電気系統に触るような作業は自分では行えないので、専門業者に依頼する必要があります。

遠隔監視システムの導入

遠隔監視システムとは、太陽光発電システムが正常に稼働しているかどうか、遠隔で常時監視するためのシステムです。日常的に点検などができない場合、故障による発電量の低下に気づくことができずに大きなロスが生じてしまう危険性があります。遠隔監視システムを設置していれば、発電量の低下があった際にアラート通知をしてくれたり、毎日の発電量のデータを確認したりすることができるので、異常もすぐに発見できます。

■まとめ

太陽光発電システムのメンテナンスには、自分で行えるものと行えないものがあります。メンテナンス費が浮いたり、異変にすぐに気づけたりといった、自分で行うことでのメリットもありますが、そもそも怪我にリスクが高くご自身の健康状態を害してしまっては元も子もありません。また、知識がない状態でのメンテナンスは破損や故障の原因となり、発電量の低下にもつながってしまいます。自分で行える部分は行い、それ以外は専門業者に依頼をしましょう。メンテナンスの専門業者の見つけ方がわからない場合には、メンテナンスや管理などをまとめて行ってくれるO&Mサービスもあるので、そういったサービスを活用するのがおすすめです。

参考:
https://ecodenchi.com/post-31789/https://wajo-holdings.jp/media/7878
https://jp.sharp/sunvista/solar/power_conditioner/lineup/https://socialsolution.omron.com/jp/ja/products_service/energy/product/
https://www.kyocera.co.jp/solar/products/power/https://solar.huawei.com/jp/professionals/all-products
https://www.e-mechatronics.com/
https://www.solar-off.com

 

一覧へ