太陽光パネルの点検費用が丸わかり!産業用太陽光発電所の点検コストを削減する方法
投稿日:2025年6月12日 | 最終更新日:2025年6月12日
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太陽光発電所を投資対象として運用されている方にとって、点検費用は単なるコストではなく、長期的な収益性を左右する重要な投資です。適切な点検とメンテナンスは発電効率を維持し、突発的な故障や大きな損失を防ぐ保険とも言えるでしょう。
この記事では、産業用太陽光発電所の点検費用の相場から、規模別の費用内訳、費用に影響を与える要因まで詳細に解説します。さらに、点検費用を抑えながらも発電効率と安全性を維持するための実践的なポイントもご紹介します。
産業用太陽光発電の規模別の点検費用相場とは?
産業用太陽光発電所の点検費用は、その規模や設備の種類によって大きく異なります。まずは規模別の費用相場を見ていきましょう。
低圧太陽光発電所(50kW未満)の年間点検費用相場
画像引用元:om’s(オムズ)太陽光メンテナンスパック – メガ発インタビュー
低圧太陽光発電所の年間点検費用の相場は、1年あたり約5万円です。10kW以下の小規模設備では3万円程度からとなりますが、50kW近くになると5万円以上になることもあります。
一般的な点検には以下の内容が含まれます。
- 太陽光パネルの目視点検
- 配線・接続部の確認
- パワーコンディショナーの動作確認
- 発電量データの確認
発電開始から3〜5年経過すると、接続部の緩みや初期不良の顕在化などが起こりやすくなります。小規模であっても、低圧太陽光発電所の点検は投資保全の観点からも欠かせません。
高圧太陽光発電所(50kW以上)の年間点検費用相場
50kW以上2000kW未満の高圧太陽光発電所の場合、年間点検費用の相場は1年あたり約50万円~です。1MW以上の大規模発電所の場合は、容量に応じて点検費用が変動します。点検費用の相場は1MWあたり約100万円〜200万円です。
高圧設備の場合、電気主任技術者による法定点検も義務付けられています。さらに、PCSなどの主要機器の数が増えることで、点検工数と費用が比例して増加します。
一方で、規模のスケールメリットを活かし単位容量あたりの費用は若干下がる傾向があります。例えば、1MWあたり200万円で計算すると2MW設備では400万円になりますが、スケールメリットにより20〜25%程度割引され、実際には2MW全体で約300〜320万円/年になることが多いです。さらに大規模になるほど単位あたりの費用効率は良くなります。
点検費用に影響する主な要因
太陽光発電所の点検費用は、以下の3つの要因によって大きく変動します。
1つ目は、発電所の立地環境です。山間部や遠隔地にある発電所のようにアクセスが良くない場所にあると、交通費や移動時間が加算され、10〜30%程度費用が上乗せされることがあります。また、周辺環境も点検費用に影響します。雑草が生い茂りやすい環境では点検前に除草作業が必要になり、年間の維持費が10万円/MW以上増加することもあります。
2つ目は、設備の種類や設置方法です。太陽光発電設備には、地上設置型と屋根設置型がありますが、屋根設置型の場合は高所作業になるため安全確保のコストが追加で必要になります。また、使用機器のメーカーや種類によっても点検費用は変動します。海外製の安価なパワーコンディショナーは、部品調達に時間がかかり、結果的に修理費用が高額になることがあります。
3つ目は、契約の形態による違いです。単発的な点検依頼であるスポット契約と比較して、年間や複数年の長期的な保守契約を結ぶことで、年間20〜30%のコスト削減が可能です。
投資判断をする際は、初期費用だけでなく、これらの要因を考慮した長期的な維持管理コストを試算することが重要です。
太陽光発電の点検内容と費用の内訳
太陽光発電所の点検には様々な項目がありますが、主な点検の種類とそれぞれの費用内訳を解説します。
電気的点検(精密点検)の内容と費用
画像引用元:電気主任技術者による太陽光パネルの点検事例 – ソラメンテ
電気的点検は発電システムの健全性を評価する上で最も重要な点検の一つです。目に見えない電気的な不具合を早期発見することで、発電ロスや火災リスクを最小化することができます。費用相場は、1回あたり約8万円〜です。年に1回は点検を実施されることをおすすめします。
具体的な点検項目は以下の通りです。
- 絶縁抵抗測定
- 開放電圧・短絡電流の測定
- 接続箱内の熱画像撮影
- ストリング別の発電性能評価
特に注意すべきは、発電量の低下が見られた場合の精密点検です。発電量が設計値の80%を下回ると、投資リターンに直接影響するため、原因究明のための電気的点検は投資としての価値が高いと言えます。
目視点検の内容と費用
目視点検は比較的低コストで実施できる基本的な点検方法です。費用相場は発電所の規模によりますが、低圧の場合1回あたり約3万円〜6万円です。年に1回は点検を実施されることをおすすめします。
主な点検項目は以下の通りです。
- パネル表面の汚れ、破損、変色の確認
- 架台・フレームの腐食や変形の確認
- 配線の劣化やケーブルトレイの状態確認
- 雑草の繁茂状況の確認
目視点検は専門知識がなくても可能な部分もありますが、プロの目による点検は微細な異常の早期発見につながります。投資収益を最大化するためには、セルフ点検と専門業者による点検を適切に組み合わせることが有効です。
雑草対策(除草作業)の内容と費用
雑草対策は見落とされがちですが、発電効率と防災の両面で重要です。雑草を放置すると、パネルへの影の影響で3〜10%の発電ロスが発生することもあり、発電効率の低下につながります。また、乾燥した雑草は発火源となる可能性があり、火災リスクも高まります。
地域の気候にもよりますが、年に1~3回ほどは除草作業を実施するとよいでしょう。費用相場は雑草の状態や土地の広さにもよりますが、1回につき約1,200坪あたり約5〜15万円です。
雑草管理は継続的なコストが発生しますが、防草シートの設置や地被植物の導入など、初期投資で長期的なコスト削減が可能な方法もあります。
点検・メンテナンスを怠った場合のリスク
点検費用を削減するために点検頻度を下げることは、短期的には効果があるように見えますが、長期的には大きなリスクを伴います。
法的リスク – 改正FIT法による点検義務化
2017年4月に施行された改正FIT法では、設備の適切な保守点検・維持管理が義務付けられています。2020年の法改正ではさらに強化され、メンテナンス不足による出力制御や認定取消のリスクも生じています。違反した場合のペナルティとしては、改善命令や認定取消、買取価格の減額などが定められています。法令遵守のためには、年1回以上の定期点検(電気的点検を含む)、接続箱やPCSなど主要設備の確認、そして点検記録の保管と報告が最低限必要です。
※画像引用元:改正FIT法による制度改正について – 資源エネルギー庁
法令遵守は単なるコスト要因ではなく、安定した投資収益を得るための最低条件です。特に高額な買取価格で認定された案件では、認定取消リスクを最小化することが資産防衛につながります。
安全上のリスク – 事故や損害賠償責任
太陽光発電設備の事故は、単なる設備損傷にとどまらず、人身事故や火災などの深刻な事態を招く可能性があります。主なリスクには、パネル飛散による第三者被害、漏電・感電事故、電気火災、架台の崩落などが挙げられます。これらの事故が発生した場合、設備の修復費用だけでなく、損害賠償責任も発生します。太陽光発電所のオーナーとして、定期的な点検による安全確保は投資を守るための基本です。
経済的リスク – 発電効率低下と突発的故障
点検不足による経済的リスクは、時間の経過とともに増大します。発電効率低下のコストについては、目視では確認できない微細な不具合による発電ロスが年間5〜15%にも及ぶことがあります。50kWの低圧設備の場合、5%の発電ロスでも年間15〜20万円の減収につながるため、見過ごせない問題です。
また、突発的故障のリスクも深刻です。小さな異常が放置されると、PCSなどの主要機器の故障に発展する可能性があります。PCS交換費用は出力に応じて100〜500万円程度かかり、修理期間中の発電ロスも発生するため、大きな経済的負担となります。
適切な点検はこれらのリスクを早期に発見し、大きな経済的損失を防ぐための「投資」と捉えるべきでしょう。
太陽光パネル点検費用を抑えるための5つのポイント
太陽光発電事業の収益性を高めるためには、点検コストの最適化が重要です。以下に効果的な5つの方法をご紹介します。
1.複数業者からの相見積もり取得
点検業者によって料金体系や点検内容にはかなりの差があります。最低3社から相見積もりを取り、点検内容の詳細をチェックリストで比較するのがおすすめです。また、過去の実績や顧客評価を確認し、保証内容やアフターサポートの充実度もチェックしましょう。単に価格だけでなく、点検の質と対応の迅速さも含めた総合評価で選定することが重要です。投資としての太陽光発電においては、点検の「質」が長期的な収益性に直結します。
2.長期契約による費用削減
スポット契約と比較して、長期保守契約を結ぶことで大幅なコスト削減が可能です。長期保守契約では、スポット契約と比較して20〜30%の費用削減効果が見込めます。
例えば、年間点検費用が単発契約の場合50万円かかるところ、5年間の長期契約を結ぶと1年あたり40万円になり、5年間で合計50万円(年間10万円×5年)のコスト削減が実現できるケースがあります。
長期契約には費用面だけでなく、設備に対する継続的な理解と迅速な対応というメリットもあります。発電所の特性を熟知した業者による長期的なサポートは、点検の質の向上にもつながります。
3.モニタリングシステムの活用
遠隔監視をするモニタリングシステムの導入は、初期費用がかかりますが、長期的な点検コスト削減と早期異常検知につながります。異常の早期発見により大きな故障を防止でき、現地点検の頻度が最適化されることで、結果的に点検コストの削減につながるでしょう。さらに、突発的なトラブル時の原因特定が迅速になり、対応時間の短縮による損失低減にもつながります。
特に複数の発電所を所有している投資家にとって、一括監視できるモニタリングシステムの導入は、管理効率と収益性の向上に直結します。
4.セルフ点検と専門業者点検の適切な使い分け
すべての点検を専門業者に依頼するのではなく、内容に応じてセルフ点検と適切に使い分けることが効果的です。
セルフ点検で可能な項目としては、パネル表面の汚れや破損の目視確認、発電量データの日次チェック、雑草の状況確認などがあります。一方で、電気的な精密点検、赤外線カメラによるホットスポット検査、PCSなど専門機器の点検については専門業者に依頼するべきでしょう。
月次の簡易点検をセルフ点検で行い、年次の精密点検を専門業者に依頼するといった組み合わせが、コスト効率と安全性のバランスを取る上で有効です。
5.点検タイミングの調整
点検実施時期を工夫することで、コスト削減と効率向上の両方をかなえられる可能性があります。繁忙期の春〜夏を避け、点検ニーズの少ない冬季に点検を行うことで費用が5〜10%程度安くなるケースもあります。また、雨季を避けることで点検効率が上がり工数削減につながります。
さらに、複数所有している発電所の点検を同時期に依頼することで、移動コストや準備コストの削減にもつながります。点検業者と相談しながら、最適なスケジュールを組み立てることが重要です。
まとめ
産業用太陽光発電所の点検費用は、単なるコストではなく、投資収益を安定させるための重要な「投資」です。特に投資経験が豊富な方であれば、長期的なキャッシュフローを最大化するための戦略的な点検計画の重要性をご理解いただけるでしょう。
点検費用の削減だけを追求するのではなく、必要な点検を効率的に行い、発電効率の維持と故障リスクの低減を図ることが、真の意味での「コスト最適化」です。
om’s clubでは、産業用太陽光発電所のオーナー様向けに、遠隔監視と専門的な点検を組み合わせた効率的なメンテナンスプランをご提供しています。発電診断から緊急リペア、定期点検、ドローン点検まで幅広いサービスを通じて、太陽光投資の長期的な収益性向上をサポートします。
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