“気づいたら数十万円の損失”を防ぐために。ドローンを使用した点検をご紹介
投稿日:2019年6月4日 | 最終更新日:2025年12月1日
ドローンでの太陽光発電所点検は必要?
ドローン点検は、不具合箇所を可視化し、地上点検の効率化を図るために有効な手段です。
近年、ドローンは空撮を中心に注目されており、テレビ番組やニュースなどでも活用される場面が増えています。
特に旅番組では、出演者を上空から撮影する演出が多く使われているため、目にする機会が多いのではないでしょうか。

空撮だけでなく、測量分野においてもドローンの活用が進み、従来より少ない人手・短時間で作業できるようになりました。
そして今、太陽光発電所の点検にもドローンが積極的に導入され始めています。
ドローン点検が注目されている理由は、発電所の規模が大きくなるほど地上での検査にコストが掛かるためです。
赤外線カメラを搭載したドローンを活用すれば、不具合箇所を短時間で正確に抽出でき、必要な部分だけを精密検査することでトータルの点検費用を削減できます。
従来の地上点検では、検査員がモジュールを1枚ずつ測定するため、1MW規模の発電所では数日を要します。また、人的ミスの可能性も避けられません。
一方ドローン点検では、上空から広範囲を一度に撮影でき、2MW規模の発電所でも約15分で検査が完了します。
赤外線カメラにより不具合が可視化されるため、専門知識がない方でも異常箇所を確認しやすい点も特徴です。
売電ロスを減らすために
太陽光発電の出力は、モジュールに当たる光量によって大きく左右されます。
モジュールはガラスなどで保護されていますが、ホコリや落ち葉の堆積、汚れや傷、周囲の樹木や雑草による影などで照射量が低下し、結果として発電効率も落ちてしまいます。
この発電ロスをいかに減らすかが収益確保の重要なポイントです。
固定価格買取制度(FIT)は20年間の売電期間があるため、その間の無駄なロスを極力抑えることが収益改善につながります。
例えば、2MW(2,000kW)の発電所でクラスタ断線を放置した場合、
2025kW(モジュール数7,500枚・270W)、モジュール不良率1%で試算すると、75枚のクラスタ断線により年間約13万円、20年間では260万円の損失が発生する可能性があります(売電単価18円の場合)。
クラスタ断線は通常、モジュールメーカーの出力保証対象となり無償交換できます。
発電容量が大きいほど、発電を停止して行う地上点検による売電ロスは増えてしまいます。発電を止めず短時間で異常箇所を確認できるドローン点検は、今後さらに普及していくと考えられます。
ドローンでわかる発電モジュールの状況
赤外線サーモグラフィーカメラを搭載したドローンで発電中のモジュールを上空から撮影すると、ホットスポットやストリング異常、クラスタ異常が鮮明に映し出されます。
モジュールの経年劣化などで発電量が低下すると、電流の抵抗が増えて熱が生じます。その発熱を赤外線カメラで検出することで、不具合箇所を正確に特定できます。また、IVカーブ測定では検出が難しいセルクラックや落ち葉の堆積なども可視化できます。
特にストリング異常は売電量に直結します。よくある例として、地上点検後の電源入れ忘れがあります。電源が落ちたままのストリングがあると、想定以上の損失が発生します。
クラスタ断線はモジュールの1/3または2/3が発電しない状態になり、放置すると売電量が大きく低下します。メーカー保証で交換できるため、早期の対応が重要です。


ドローン点検はどのくらいの頻度ですべき?
多くの発電所では、年1回の定期点検前にドローン点検で不具合を可視化し、その後の精密検査で修復するというサイクルが取られています。
適切な発電を維持するためにも、少なくとも年1回のドローン点検をおすすめします。
遠隔監視システムを導入している発電所では、日々の発電量を数値で管理できますが、一度もドローン点検を実施していない場合は、まず可視化して状態を把握することが大切です。
その後は数値の変動が大きい際に再度ドローン点検を実施するお客様もいらっしゃいます。
ドローン点検のメリットとデメリット
1.短時間で正確な不具合検出が可能
従来の地上点検では、モジュール1枚ずつ測定するため時間も手間も掛かります。ドローン点検では、2MW規模の発電所でも約15分で撮影が完了し、不具合箇所を正確に把握できます。
2.発電を止めずに故障パネルを発見できる
赤外線サーモグラフィーにより、ホットスポット・ストリング異常・クラスタ異常などを発電中に可視化できます。IVカーブでは見つけにくいセルクラックや堆積物も確認できます。
3.メンテナンス費用を大幅に削減できる
ドローンで異常モジュールを抽出し、必要な箇所だけ地上で精密検査すれば、全数検査を行うより大幅にコストを抑えることができます。
従来の地上検査:すべてのモジュールを対象に点検
ドローン+地上検査:異常モジュールの抽出 → 異常箇所のみ精密検査
うちの発電所で飛ばせるの? 航空法は大丈夫?
問題ありません。規模が大きい発電所は市街地から離れた場所にあることが多く、民家の上を飛ばすようなケースはほとんどありません。
ドローンは国土交通省の管理下にあり、航空法に基づく飛行ルールが定められています。
弊社では必要な飛行許可を取得しており、全国の発電所で飛行が可能です。

どのように点検するの?
点検は、発電所の図面を確認し、事前に飛行ルートを設定するところから始まります。2MW規模であれば1回のフライトで完了し、使用するバッテリーも1本です。
弊社では、機動性に優れた「3DR Solo」を使用しています。発電所はモジュールが敷き詰められているため、離着陸スペースが限られることもありますが、小型の機体であれば安全に運用できます。
ドローンは離陸後、設定したルートに沿って自動で撮影を行います。操縦者は赤外線カメラの映像を確認しながら、不具合を確実に捉えられているか監視します。
2MW規模なら撮影は約15分で完了し、撮影データに問題がなければ点検終了です。到着から撤収まで1時間ほどで完了するケースがほとんどです。
着陸後は、撮影データをその場で確認し、問題がなければ点検は完了です。
発電所に到着してから撤収まで、2MW規模でも1時間かからないケースがほとんどです。お客様からは「想像よりずっと早く終わる」「効率がいい」と驚かれることが多くあります。
ドローンで取得した赤外線画像は事務所に持ち帰り、専用の解析ソフトで詳細分析を行います。
不具合箇所は位置情報とセットで一覧化し、報告書としてまとめます。
どのストリングにどの異常があるか、どのモジュールを重点的に精密検査すべきかが一目で確認できるため、その後の対応が非常にスムーズです。
まとめ:ドローン点検は「時間」と「売電」を守る有効な手段
ドローンによる点検は、短時間で広範囲を確認でき、発電を止めずに不具合を発見できるため、効率面でもコスト面でも大きなメリットがあります。
失ってしまった売電量は取り返すことができません。不要な損失を避けるためにも、年に1回のドローン点検を基準に、定期的な状態把握を習慣化することをおすすめします。
弊社が提供するドローンを使用したモジュール検査サービス「ドローンアイ」については、下記のページをご覧ください。
ドローンアイ サービス紹介ページ
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