遠方で「落ちた」ブレーカー、誰が「上げる」の?
投稿日:2022年8月19日 | 最終更新日:2024年4月8日
│災害対策│
はじめは「異常気象」という表現だったのが、もはや毎年の恒例となった猛暑の夏。今年は梅雨が明けない6月から異様な暑さに見舞われ、太陽光発電所では豪雨&落雷と直射日光&温度上昇の両方にハラハラさせられる今日この頃。
落雷と聞くと条件反射的に出るのが、ブレーカーの心配です。太陽光パネルを筆頭にデリケートな機器の集積基地のような中でも、パワーコンディショナーと並んでトラブルの頻発箇所。「落ちた」時はスイッチひとつで復旧できるものの、野立ての低圧太陽光発電所の場合は、自宅とは少々事情が異なります。
ブレーカーの役割について
太陽光発電所は、電気を専門的に扱う設備。電流管理は基本であり、同時に重要課題でもあります。ここでは、まず安全装置の役割を果たすブレーカーの役割についておさらいしておきましょう。
❶ ブレーカーとは
周囲の電気製品が、バチンと大きな音を立てて消灯。反射的に「落ちた!」「飛んだ!」と叫び、「上げる」ために宅内の分電盤へと走った経験がおありの方も多いのではないでしょうか。ブレーカーとは、その分電盤の中にある安全装置。過電流やショート(短絡)など電気回路に何らかの異常が起きた時、電線からの発火などの事故を防ぐために電気を自動的に止める役目を果たします。
「落ちた」「飛んだ」というのは、スイッチがオフに切り替わった時に一時的に電気が使用不能となる現象のこと。分電盤のスイッチを「上げて」オンにすれば、再び電気が使えるようになります。ちなみに、分電盤は、読んで字のごとく電気をそれぞれの部屋のコンセントや照明など目的に合わせて分配する装置。基本的なメカニズムは、一般の住宅でもオフィスや商業ビルでも変わりません。
なお、厳密には、建物内のブレーカーは1種類ではありません。設定以上の電流が流れた際に供給を停止して過電流を防ぐアンペアブレーカー、意図しない経路に電気が流れた場合に家全体の電力供給を停止して事故を防ぐ漏電遮断器、分電盤から電気を分配する際に各回路に過度の負荷がかからないよう保護する配線用遮断器と、いくつかの種類があります。なお、家庭用の太陽光発電装置では、このほかに専用のブレーカーが設置されます。
❷ 太陽光発電所のブレーカー
野立てによる低圧太陽光発電所では、一般的な建物内よりも複雑なシステムが構築されています。太陽光モジュールによって発生させた直流電力を集め、売電可能な交流電流へと変換して電力メーターから外部へと送り出すには、多種多様な機器を経由しなければなりません。
規模や設計によって異なりますが、パネル本体のほか接続箱・集電箱と呼ばれる電気をまとめるための装置や、直流・交流の変換を担うパワーコンディショナー、安定的で効率のよい発電のための日射計や気温計、運転監視のためのITツール群など、多岐にわたる機器を抱えています。ブレーカーは、システムの各所で多用されていると考えればよいでしょう。
ブレーカーのトラブルはなぜ起こる
「ブレーカーが飛ぶ」事態は、太陽光発電所でも発生します。パワーコンディショナーの不調と並び、主幹ブレーカー落ちは「よく起こるトラブル」の双璧と考えてもよいでしょう。では、どんな時に落ちるのでしょうか。ここでは、主な原因をチェックしてみましょう。
❶ 電気容量の問題によるトラブル
前述の通り、ブレーカーは決められた容量を超える電流を遮断する役割を持ちます。したがって、電気容量に問題が生じた場合はブレーカーが働く、つまりトラブルが起こります。一般家庭でもお馴染みの「落雷」では、過電流・過電圧によってブレーカーが焼損することもあります。発電量のアップを目的にパワーコンディショナーの容量を超えてパネルが設置されている「過積載」の発電所は、特に注意が必要です。
❷ 夏場の高温によるトラブル
自分で熱を発する機器群にとって、夏場の高温は天敵のようなもの。特に近年は記録的な暑さが続いていますが、こうした炎天下では太陽光パネルが80℃前後に達することもあります。ブレーカーは保護回路ですので、特に屋外に取り付けられている箇所は、温度の上昇で誤作動を起こすケースもあります。
❸ 漏電によるトラブル
太陽光発電システムでは、それぞれのパワコンに漏電用ブレーカーが設置されています。人里離れた野立ての太陽光発電所では野生動物が施設内に入り込んで機器を荒らすなどの被害が見られますが、ケーブルの損傷によって漏電が起こり、結果としてブレーカーが落ちることもあります。
ブレーカーが落ちると、一般家庭と同様に電気の流れが停止します。問題が発生した箇所のみではありますが、放置すると発電量の低下につながります。
ブレーカーが落ちた際の対処法
ブレーカーが落ちた場合は、スイッチを入れ直します。対処はこれだけ、とても簡単です。
ところが、これは自宅のブレーカーが飛んだ時のお話。遠く離れた太陽光発電所の場合は、この簡単な操作を「誰が行うのか」という点が大問題となります。オーナー自身が車を飛ばして現地に出向き、専門機器を相手に原因を調べ、特定して自分で復旧する…というのは、少し現実味が薄いように思われます。
O&M(オペレーション&メンテナンス)サービスに加入している場合は、遠隔監視サービスを受けられることが多いので、トラブル情報は比較的容易に把握できるでしょう。しかし、現場への駆け付けサービスがない場合、あるいは上限に達してしまい有料となった場合は、「誰が行うのか」問題が急浮上するわけです。
仮に、自分でも対処できるようにしておきたいという場合のために、いくつかポイントを。専門知識の云々以前に、まず以下の点に注意する必要があります。
❶ すぐにブレーカーを戻さない
ブレーカーは安全装置ですので、これが働いたということは何らかの不具合が起こったということにほかなりません。監視機器などで情報を集め、現地で問題箇所を発見したら、原因を探る必要があります。分からない場合は復旧作業を行うしかありませんが、その際は「再発する可能性がある」ことを認識しておかなければなりません。
❷ 日常の稼働データを分析する
もしも年に何度もブレーカーが落ちるようであれば、やはり究明が必要です。そんな際は、日常の稼働状況を細かくチェックすることで、原因を推測することができる可能性があります。また、日中に現場に赴き、設置状況を確認するのもよいでしょう。ブレーカーの設置位置が直射日光に晒されているようであれば、移設を考えるのも一手です。
❸ 早道は信頼できる業者への相談
上のふたつを読んだだけでも、太陽光発電システムは専門知識が必要であることがお分かりでしょう。原因の特定が困難なだけでなく、仮に見当がついたとしても、自力で対処可能かどうかは別問題。また、遠方の場合は出向くこと自体が困難であるケースが多いため、やはり代わりに対処してくれる「誰か」を用意するのが一番の早道です。
もはや必須の「駆け付けサービス」
個人で太陽光発電事業に臨む場合は、O&Mサービスを利用して専門サービスを受けるのが、安心への近道。ところが、ここで大きな注意点があります。
❶ 「誰が」レバーを上げるのか
O&Mでは、運用状況の遠隔監視・モニタリングが組み込まれているサービスが多数あります。駆け付けまで対応可能なプランもありますが、ここでも「誰が出動するのか」という点を確認しておく必要があります。
主幹ブレーカーを入れ直すこと自体は簡単な作業ですので、誰でも対処可能です。しかし、もしも現場で事故が起きていたらどうでしょうか。大小に関わらず、そこではスイッチを戻す以上のスキルが必要になることは明らかです。
また、一見は何も起きていないように見えても、誰あろうブレーカーが「起きた」と証言しているわけですから、原因を調べ、可能なら再発を防ぐ対策を練ることも必要でしょう。万全を期すなら、その場で情報を収集し、判断を下した上で自律的に行動できるレベルの専門知識が問われることになるわけです。
❷ 出動コストの問題
そこまでの人材を派遣できるO&Mサービスは多くない上に、ほとんどの場合は出動回数に制限が設けられています。仮に現地に出かけて対処してもらっても、以降に同じことが発生した場合は、そのつど有償に。同様の症状が年に3〜4回も起こり、2回目以降は毎回5万円を超えるようなコストをかけることになれば、収支にも影響することになります。
❸ 保険では対処できない
O&Mサービスとは別に、事業開始時に金融機関の融資を受けた方は、保険に加入していることと思います。駆け付けにコストがかかるなら、この保険で対処できないか…と頭をよぎりますが、残念ながらソーラーローンの付帯保険では期間内であっても対象外となります。
レバーの上げ下げで対処できるブレーカー落ちですが、投資上の課題として突き詰めて考えていくと、意外に奥が深いことが分かります。そこで弊社では、独自のO&Mサービス『om’s(オムズ)』にて、解決策をご用意しています。
専門スタッフ&回数無制限の駆け付けO&M
● 独自O&Mサービス『om’s(オムズ)』とは
2021年10月現在、全国約8,500か所の太陽光発電所でソーラーモニターの導入実績を有する、国内でも代表的なO&Mサービスのひとつです。日々の稼働の監視やメンテナンス、現地での目視による点検や有事の駆け付け・緊急対応のほか、一部自然災害※1や電気的・機械的事故などの補償対象、売電補償※2と各種保険までをワンストップで組み込んでいるのが大きな特徴です。
om’s(オムズ)のサービス範囲は、大きく分けて以下の4つとなります。
- ❶ 運営中の発電所に専用の遠隔監視機器を設置。
- ❷ 遠隔監視機器を稼働、発電状況を常時モニタリング。
- ❸ 異常発生を確認次第、専門スタッフが速やかに現地に駆けつけ。
- ❹ 状況をその場で判断の上、必要な手配や保険対応の準備を開始。
ここまで見てきた通り、ブレーカー落ち問題には「専門スタッフが駆け付けて現場で対処すること」「回数無制限で別途コストがかからないこと」の2点が極めて重要です。om’s(オムズ)では、この両方をカバーしていますので、安心してお任せいただくことができます。
● 現場対応から万一の保険請求まで
ブレーカー落ちによる駆け付け対応は、前述の通り保険では対処できません。om’s(オムズ)は回数無制限ですので対応可能ですが、時には現地で「ケーブルが盗まれていた」「架台が崩れていた」といった問題が起きていることもあります。そんな時、専門知識を有するスタッフ自身が出動するom’s(オムズ)では、直ちに対処を始めます。
その場で被害状況を把握し、適切な判断を下した上で修理や入れ替えの準備を進めますが、ポイントは保険対応まで行うこと。上記の通り、om’s(オムズ)には各種保険がワンストップで組み込まれていますので、対象範囲内であれば保険請求に必要な書類を整え、手続きまで代行します。
ブレーカーを入れるのは当然として、それ以上のことが起きた場合も安心を。豊富なオプションも含めて、悠々自適な太陽光発電投資をサポートするのが、om’s(オムズ)ならではの利点です。
● サービスメニューについて
om’s(オムズ)では、会員制の『om’s club』から事業スタイルに合わせて選択できる各種プランをご用意しています。低圧発電所向けでは、以下の3コースからお選びいただけます。
- ❶ om’s(オムズ)プレミアム:月額17,380円(税込)
- ❷ om’s(オムズ)ゴールド:月額10,780円(税込)
- ❸ om’s(オムズ)ベーシック:月額9,680円(税込)
いずれのプランも現状確認費用として申込時のみ110,000円(税込)がかかります。それぞれメニューは異なりますが、月額費用の中に保険代金が含まれるのは共通しています。また、草刈り(刈り倒し)をオプションでご用意するほか、雑草対策は個別にご相談いただくこともできますので、お気軽にお問い合わせください。
※1:om’s(オムズ)で提供する保険は、地震・津波・噴火、戦争・テロなどによる被害は対象外となります。※2:自然災害が原因で売電が停止した場合に最大で日額10,000円を補償。免責は3日間、最長1か月となります。
詳細は別途お問合せください。