義務化に対応した保険プランは?太陽光発電設備の「保険加入の努力義務化」を解説

投稿日:2024年7月30日 | 最終更新日:2024年7月30日

比較・選び方

2020年4月より「太陽光発電設備の保険加入の努力義務化」が、資源エネルギー庁から呼びかけられています。出力10kW以上の太陽光発電設備は火災保険や地震保険への加入が“努力義務化”されたので、太陽光発電オーナーは保険加入を前向きに検討するべきでしょう。とはいえ、保険の契約を行うためには最低限の知識が必要になってくるので、自信がない場合には保険会社とのやり取りを含めて対応してくれるO&Mサービスを活用するのがおすすめです。どのような保険を選ぶべきか悩んでいる人のためにも、今回は義務化の詳しい内容や義務化に対応した太陽光発電の保険プランを紹介していきます。

■義務化の背景を解説

「太陽光発電設備の保険加入の努力義務化」が明示された理由としては、まずは自然災害の増加が挙げられます。太陽光発電システムは、火災、台風、落雷、豪雨、豪雪、といった自然災害による損害のリスクに常に晒されています。しかも、近年は地震をはじめとした自然災害が頻発しているため、リスクカバーとしての保険の必要性はより高まってきています。これらの設備や機器の修理費用や交換費用は高額になるケースも多いので、前もってきちんとリスクに備えておくべきです。太陽光発電は再生可能エネルギーの一つであり、地球環境の保護という観点でも重要な役割を果たしています。だからこそ、安心安全に長期的な運用を行うことで、再生可能エネルギーの安定供給を促進していきたいという狙いも保険義務化の背景にはあると考えられます。

■「火災保険や地震保険、第三者賠償保険等」の加入努力義務化

2020年4月より、再エネ特措法に基づく事業計画策定ガイドラインにおいて、出力10kW以上の太陽光発電設備については、「災害等による発電事業途中での修繕や撤去及び処分に備え、火災保険や地震保険等に加入する」ことが努力義務化されています。また、発電設備の異常や破損などによって周辺地域に被害をもたらしてしまった場合には、第三者への損害賠償が発生する恐れもあります。さらに、突発的な損害が原因で設備の廃棄が生じる可能性なども出てくるので、さまざまなリスクに対応した備えをしておくことが重要です。こういったリスクをカバーしつつ、安心して太陽光発電事業を継続していくために、保険を活用することは非常に有効であるので、義務化への対応が求められています。保険への加入に関しては、現在は“努力義務”であるものの、義務化の状況によっては“遵守義務化”の検討が進められる可能性もあるため、いずれにせよ前向きに考えておいたほうがいいかもしれません。

■廃棄費用の積立

2022年7月より、太陽光発電の「廃棄等費用の積立て制度」が始まりました。廃棄等費用の確実な積立てを担保するために、10kW以上のすべての太陽光発電のFIT・FIP認定事業(複数太陽光発電設備設置事業を含む)を対象とし、認定事業者に対して原則として源泉徴収的な外部積立ての義務化を求めた制度です。固定価格買取(FIT)制度の買取価格には、もともと廃棄費用相当額が含まれているものの、実際に廃棄費用を積み立てている事業者は2割程度とされています。廃棄物の処理及び清掃に関する法律などにより、太陽光発電設備の廃棄処理の責任は太陽光発電事業者にありますし、太陽光発電は再生可能エネルギーの中でも最大級のシェアを占めるものであるので、廃棄等費用を確保することは当然の責任とも言えます。また、ソーラーパネルは鉛やセレンなどの有害物質を含むこともあるため、適正な廃棄に向けて廃棄費用の積立が義務化されることになりました。

■義務化に対応した太陽光保険プラン3選

「太陽光発電設備の保険加入の努力義務化」が呼びかけられている今、安心安全に太陽光発電事業を行っていくためにも、やはり保険の加入は前向きに検討するべきでしょう。自然災害の増加や多発する盗難被害など、近年はリスクも大きくなってきて、多様化もしてきてしまっているので、発電所のある地域の環境、設備や機器の状況、コストなども考慮した上で、それぞれのニーズに合った最適な保険を選ぶことが重要です。保険の努力義務化に伴い、太陽光発電事業者の取り組みを後押しするものとして、資源エネルギー庁がいくつか保険プランを紹介してくれているので、その中から3つのプランについて解説していきます。

損害保険ジャパンの「企業総合補償保険(オールリスク型保険)」

建物や設備の損害から休業による利益の減少まで、企業を取り巻くリスクをまとめて補償してくれる保険で、火災をはじめとする自然災害はもちろん、今までの火災保険では対象外となっていた事故まで、さまざまなリスクを幅広くカバーしてくれるのが大きな特長です。災害や事故などによる休業で起こった利益の減少にも対応していて、「喪失利益」や「営業継続費用」、「休業損失」や「休業日数を減少するための費用」などを補償してくれます。支払限度額や自己負担額(免責金額)の設定など、合理的な保険設計が可能な点もおすすめポイントです。

東京海上日動の「企業総合保険(財産補償条項)」

建物や設備・什器、商品・製品、屋外設備装置などが、火災、落雷、破裂・爆発、風災、さらには盗難や電気的・機械的事故、偶然の破損事故など、さまざまな事故によって被った損害に対して、幅広く補償してくれる保険です。プラン1~6まで6種類の費用補償パターンが用意されているため、コスト面やニーズを考慮しながら最適なプランを選ぶことができます。「臨時費用補償特約」や「地震危険補償特約」など、オプション特約もさまざまなものが用意されています。

三井住友海上の「ビジネスキーパー(事業活動総合保険)」

事業活動を取り巻くさまざまなリスクによる損害をまとめて補償してくれる火災保険です。基本補償は「財物損害のみ」または「休業損害のみ」または「財物損害・休業損害どちらも」から、契約プランは充実補償の「ワイドPlus」「ワイド」、基本的な補償の「ベーシック」「エコノミー」の4つから選ぶことができます。それぞれのニーズに合わせて選べるオプション特約も多数用意されていて、事業形態に応じた幅広いリスクをまとめて補償してくれます。「被災設備修復サービス」「気象情報アラートサービス」「人事・労務相談デスク」といった、事業に役立つ3つの付帯サービスも利用できます。

■まとめ

自然災害や電気的事故など、太陽光発電事業を行う上ではさまざまなリスクも伴ってきます。そういったことに備えておくためにも、保険加入は必要不可欠です。「太陽光発電設備の保険加入の努力義務化」も呼びかけられているので、保険契約や見直しなどは積極的に行ったほうがいいでしょう。保険の契約に関するやり取りなどに不安があるのであれば、保険加入をはじめ、駆付けや点検までを一本化にしたO&Mサービスもあるので、そういったサービスとセットで保険契約をするのがおすすめですよ。

 

参考:
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/solar/index.html
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fip_2020/fip_document03.pdf
https://www.sompo-japan.co.jp/hinsurance/risk/property/order/
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/hojin/zaisan/kiso_zaisan/
https://www.ms-ins.com/business/property/biz-keeper/

 

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