経産省が再生可能エネルギー発電設備の現地調査を開始(2025年5月~2026年3月)

投稿日:2025年8月8日 | 最終更新日:2025年8月8日

お知らせ

太陽光発電事業を営む皆様へ重要なお知らせです。経済産業省 資源エネルギー庁より、再生可能エネルギー発電設備の現地調査が2025年5月から2026年3月にかけて実施されることが発表されました。

参考:再生可能エネルギー発電設備の現地調査を行います – 資源エネルギー庁 新エネルギー課 再生可能エネルギー推進室

この調査は、再エネ特措法に基づく認定を受けた全ての発電設備が対象となるため、事業規模の大小に関わらず、すべての太陽光発電オーナーが準備しておく必要があります。

なぜ今、現地調査が実施されるのか?

再エネ導入拡大に伴う地域の懸念増加

太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの導入が急速に進む中で、地域住民からは設備の安全性や災害時のリスク、景観への影響について心配の声が上がっています。特に住宅地に近い場所では、こうした懸念がより強くなっているようです。

安全面・防災面・景観への配慮が急務に

※画像引用元:台風21号の猛烈な風、太陽光パネルに「これまでにない損傷」、経産省が公表 – メガソーラービジネス plus

フェンスが適切に設置されていない、雑草が放置されている、災害時の対応が不明といった問題が各地で指摘されています。再エネをさらに普及させるためには、これらの地域の不安を解消して信頼関係を築くことが欠かせません。

調査の具体的な内容と方法

外観調査(事前連絡なし)と立入調査(事前連絡あり)

外観調査は突然実施されるため、普段から設備周辺をきちんと管理しておく必要があります。立入調査では事前に連絡があるので、点検記録などの書類も準備しておきましょう。どちらも適切な管理ができていれば心配することはありません。

調査期間と対象範囲

2025年5月から2026年3月まで約1年間にわたって実施されます。再エネ特措法(FIT法)に基づいて認定を受けた全ての発電設備が対象になるので、規模の大小に関わらず準備しておくことが大切です。

再エネ特措法とは…正式名称は「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」で別名「FIT法」と言います。これは、2012年に施行された再エネ普及促進のための法律です。FIT制度により、太陽光や風力などで発電した電気を電力会社が一定期間・固定価格で買い取ることを義務付けています。

発電事業を行うには経済産業大臣の認定が必要で、事業者には適切な保守管理、標識掲示、安全設備設置、地域との調和などの義務が課されています。今回の現地調査は、この法律に基づく認定事業者の義務履行状況を確認するものです。

調査で重点的にチェックされる6つのポイント

フェンス・柵の設置状況

※画像引用元:太陽光発電所向けの防犯フェンス – 原建設建材株式会社

高さ1.2m以上のフェンスがパネル周囲にきちんと設置されているかが重要なポイントです。動物の侵入や第三者の立ち入りを防ぐためにも、破損箇所がないか定期的にチェックしておきましょう。入り口の施錠も忘れずに確認してください。

保守通路の確保とパネル周辺の管理

※画像引用元:既存の太陽光発電施設のパネルとパネルの間に補強用のスクリュー杭を打設する! – 株式会社ジオリゾーム

フェンスとパネルの間に1m以上の間隔があるか、点検や草刈り作業ができる通路が確保されているかも見られます。作業しやすい環境を整えておくことで、日頃のメンテナンスもスムーズに行えるようになります。

雑草・倒木などの維持管理状態

※画像引用元:太陽光発電投資は、雑草との戦い!?

雑草がパネルにかかって発電効率が下がっていないか、倒木の危険がある樹木はないかなど、敷地内の管理状況が確認されます。防草シートの活用や定期的な草刈りや枯れ草木の除去などで、きれいな状態を保っておきましょう。

標識(看板)の設置と記載内容

※画像引用元:太陽光発電設備の標識・看板販売が好調です。 – テクノケア株式会社

事業者名、連絡先、緊急時の対応先が明記された標識が見やすい場所に設置されているかチェックされます。文字が薄くなっていたり、連絡先が未更新になっていないかも確認しておいてください。

電気設備の安全管理と点検記録

※画像引用元:太陽光発電設備とは – 電気設備の知識と技術

PCS、太陽電池モジュールやブレーカーなどの電気設備に異常がないか、定期点検がきちんと実施されているかが重要です。点検記録やメンテナンス履歴もしっかり保管しておくと、調査時にスムーズに対応できます。

人体への危害防止と発電所への損傷防止

※画像引用元:一目瞭然!衝撃的な効果 これからは「除草」から「防草」へ – 株式会社白崎コーポレーション

PCSなどの機械器具が故障や災害等で発火した際、枯れた草木や可燃性の防草シートなどに飛び火し広範囲で延焼しないようにする必要があります。例えば、枯れた草木を除去したり、難燃性の防草シートを敷く、砕石を敷き詰めるなど、延焼防止措置を講じ、適切に維持管理する必要があります。

太陽光発電オーナーが今すぐできる対策

設備周辺の点検・整備チェック

フェンス、標識、雑草、電気設備の4つのポイントを中心に、数か月に一度は発電所を見回ってチェックしてみてください。小さな問題も早めに対処することで、大きなトラブルを防げます。

必要書類・記録の整備と保管

点検記録、メンテナンス履歴、設備の仕様書、保険証書などの重要書類は、いつでも提示できるよう整理して保管しておきましょう。デジタル化しておくと管理が楽になります。

緊急時の連絡先の確認と見直し

標識に記載した連絡先に確実に連絡が取れるか、緊急時の対応手順が明確になっているかを確認してください。地域住民からの問い合わせにもスムーズに対応できる体制を整えておくことが大切です。

指摘を受けた場合の対応方法

行政指導への適切な対応

もし指摘を受けた場合は、まずは冷静に内容を確認して、改善すべき点を整理しましょう。期限内に適切な対応を取ることで、信頼関係を保つことができます。

改善計画の立て方

指摘された問題点に対して、いつまでにどのような方法で改善するかの計画を立てます。予算や工期を考慮した現実的なスケジュールを組むことが重要です。

まとめ

調査対応だけでなく、発電効率の維持や安全確保のためにも定期的な点検は欠かせません。問題の早期発見により、結果的にコストも抑えられます。

設備管理でお困りのことがあれば、遠慮なくご相談ください。調査対応から日常的なメンテナンスまで、経験豊富なスタッフがサポートいたします。

今回の現地調査は、再生可能エネルギー業界全体の健全な発展を目指すためのものです。適切な管理を心がけることで、地域との共生を図りながら安定した発電事業を継続できます。ご不明な点やお困りのことがございましたら、お気軽にお声がけください。

参考:発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令及びその解釈 に関する逐条解説|経済産業省

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